抄録
1)DOPの末梢作用につき,骨格筋ならびに自律神経支配下の諸臓器について,摘出ならびに生体での実験を試み,その相関について検討を加えた.2)DOPはラット摘出横隔膜神経筋伝達を促進したが,生体における坐骨神経腓腸筋伝達には影響をおよぼさなかった。3)モルモット摘出回腸,盲腸紐ならびに大腸において,DOPは10-5g/ml以上の濃度で抑制作用を現わしたが,これは平滑筋におよぼす直接作用によるものと思われる.生体実験では,マウス腸管輸送ならびにバロソ法による腔腸運動のいずれも,DOPの大量応用により抑制効果がみられた.特に後者の場合は一過性で,中枢興奮作用との関連性は認められなかった,4)モルモット摘出輸精管ならびにラット非妊娠子宮の運動も,DOP大量応用により抑制されたが,ラット摘出妊娠子宮の運動は促進された.しかしながら,ウレタソ麻酔下のラット妊娠子宮の自発運動は,DOP大量応用によっても影響されなかった.5)ウレタソ麻酔下のウサギにおけるpilocarpine唾液分泌効果は,2~10mg/kg i.v. DOPでわずかに抑制された.6)これらのDOPによる諸作用に,tachyphylaxisは認められなかった.