日本薬理学雑誌
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ヒ素代謝に関する研究(第14報) Lactoalbumin,eggalbuminがヒ素の排泄ならびに臓器内貯留におよぽす影響について
田村 俊吉水上 玲子田中 いずみ
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1974 年 70 巻 6 号 p. 843-847

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抄録

ヒ素を飼料に添加すると,粉乳を主成分とする飼料は雑穀を主成分とする飼料と異なり,臓器のヒ素貯留量は減少した.この作用は以前の実験でcaseinにあることがわかった.この研究は乳汁内の主要蛋白質であるlactoalbuminまた同じalbuminであるeggalbuminもこの作用があるかを調べた.実験動物はWistar系albinoratのclosedcolony(田村,1950)の100g内外の雄ラットを用いた.実験群には雑穀飼料にlactoalbumin,eggalbuminをそれぞれ20%加え,対照群は雑穀群とし,As2O3を650ppm添加して,35日間飼養した.体重増加はいずれの群の間にも統計的に有意差はなかった.尿中ヒ素量は対照群と実験群との間に差異がなかった.糞便ヒ素量は対照群と実験群との間には差異がなかった,脳,腎,脾のヒ素量は対照群と実験群との間に差異がなかった.肝では対照群に比べてlactoalbumin添加群では臓器当りのヒ素含有量は増加したが,臓器1g当りのヒ素量は対照群と同じであった.肺は実験群では臓器当りではヒ素含有量は対照群と同じであったが,臓器1g当りでは少なかった.しかし統計的有意差はなかった.

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