日本薬理学雑誌
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局所性抗炎症ステロイド9α-fluoro-11β,17,21-trihydroxy-16β-metylpregna-1,4-diene-3,20-dione-17-benzoate(Betamethasone-17-benzoate,MS-1112)の薬理学的研究(第1報) 抗炎症作用ならびにその他の薬理作用
岡田 信行岡崎 豊和田 育夫田中 康仁福田 保川面 博辺見 善一
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1975 年 71 巻 2 号 p. 231-252

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抄録

MS-1112の抗炎症作用ならびに糖質ステロイドに関連する薬理学的能動性をdexamethasone(Dexa),betamethasone-17-valerate(Val),hydrocortisone acetate(Hydr)と比較検討した.各薬物の抗炎症作用を全身投与(皮下または腹腔注射)で比較した場合,毛細血管透過性,急性あるいは持続性足浮腫法,granuloma pouch法,cotton pellet法のいずれにおいても抑制効果はDexaが最も強く,次いでMS-1112,Val,Hydrの順であった.また薬物を連続投与した際にみられる全身作用(体重減少,胸腺および副腎重量の低下など)の強さも薬効に比例していた.局所投与による抗炎症作用はcarrageenin足浮腫法ならびにcotton pellet法において極めて微量で効果を発揮し,その抑制効果はMS-1112が最も強くDexaの3~5倍の効力を示した.またその他の薬理作用として,糖質ステロイドの特徴である肝グリコーゲン沈着充進作用,脳下垂体-副腎皮質機能抑制作用,尿量および尿中電解質の増加,glucose負荷時の糖処理機能低下ならびに創傷治癒に対する抑制作用が認められたがいずれもDexaより弱かった.さらに性ホルモンに対して何ら影響を与えず,血中BSP排泄をやや促進する傾向が見られた.以上の成績からMS-1112は全身投与および局所投与において強力な抗炎症作用を有し,特に局所投与にいてその作用が顕著であることからみて,局所での浸透性,貯留性等の点ですぐれた極めて強力な局所性抗炎症ステロイド剤であると思われた.

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