日本薬理学雑誌
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局所性抗炎症ステロイド9α-fluoro-11β,17,21-trihydroxy-16p-methylpregna-1,4-diene-3,20-dione-17-benzoate(Betamethasone-17-benzoate,MS-1112)の薬理学的研究(第2報)遅延型アレルギー性皮膚炎症に対する作用
今泉 義則斎藤 直久岡田 信行辺見 善一
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1975 年 71 巻 2 号 p. 253-261

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抄録

Picryl chlorideで遅延型アレルギー皮膚炎症を惹起させたマウスを使用して,MS-1112の抗炎症作用を皮膚適用(塗布)ならびに全身適用(皮下注射)においてbetamethasone-17-valerate(Val),dexamethasone(Dexa)およびbetalnethasone(Beta)と比較検討した.皮膚適用には同一基剤に被検薬を含有するointment,cream,gel剤を作製し,炎症の予防効果と治療効果を試験した.MS-1112は皮膚適用による予防および治療効果のいずれにおいても最も強い抑制作用を示し,基剤別による効果はointmentが最も強く,次いでcream,ge1の順であった.C-17位の水酸基を疎水性の置換基でエステル化されていないBetaおよびDexaは予防および治療効果のいずれにおいても効力は非常に弱い(Beta)か,あっても効力発現は非常に遅かった(Dexa)。一方,全身投与(皮下注射)における効力はDexaが最も強く,次いでMS-1112およびBetaがほぼ同等の効力を示し,Valが最も弱かった.以上の成績からMS-1112はointment,cream,gelの型で外用した時,Valよりかなり強い抗アレルギー性皮膚炎症作用を示し,その作用発現は比較的短時間に招来され,かつ持続時間も長いことからみて,皮膚病巣部への浸透性および皮膚内での貯留性にすぐれた局所牲抗炎症ステロイド剤であると思われた.

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