日本薬理学雑誌
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持続性降圧作用を有するMandelamidineの作用様式の解明 (I)
Guanethidineとの作用様式の比較
小澤 光弘中 豊
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1975 年 71 巻 5 号 p. 463-479

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抄録

dl-Mandelamidine (MA) の持続性降圧作用の機序についてguanethidineと比較検討した.麻酔した動物の血圧に対してMA (10~30mg/kg, i.v.) により一過性の血圧下降とそれに続く緩徐で持続的な降圧作用の二相性の変化が認められた.無麻酔ネコ瞬膜においてMA (100mg/kg, s. c.) によりguanethidine (10mg/kg, s. c.) と同程度の弛緩が認められ, 麻酔ネコの上頸部交感神経節前線維に種々の頻度の電気刺激を与えて生ずる瞬膜の収縮にご対してMA (5~10mg/kg, i. v.) はguanethidineの約10倍量の用量でほぼ同程度の抑制を示した.MAの神経遮断作用はラットinferior eyelidにおける上頸部交感神経節前線維の電気刺激, イヌ血圧における総頸動の閉塞, 摘出ウサギ空腸・腸間膜神経標本, 摘出モルモット輸精管の経壁刺激などの実験においても同様に認められた.さらに脊髄ネコの血圧に対してもMA (30mg/kg, i. v.) は持続性降圧作用を示したことはMAの降圧機序がguanethidineと同様に, 主として末梢における交感神経遮断によるものと思われ, ネコ瞬膜においてMAの作用がmethamphetamineにより拮抗されたことは, その作用様式もguanethidineと類似することを示唆する.しかしMAの神経遮断作用の型がguanethidineとは異なるのではないかと推測される結果も得た.Guanethidineの有するcatecholamine遊離作用に関してもMAは脊髄ネコにおいても昇圧作用が認められず, 他の実験結果からも否定したくなるが, ネコ瞬膜においては収縮が認められ, この収縮はreserpine処理, phentolamineで抑制されることから, MAは一部catecholamineを遊離する可能性も考えられる.さらにcatechOlamineuptake阻害作用についても, ラット, イヌの血圧, ネコの血圧.瞬膜, ウサギ肺動脈標本などにおけるNE, E, Tyrに対するMAの作用から, MAのcatecholamine uptake阻害作用はguanethidineに比較して極めて弱いものと思われる.MAの副交感神経系に対する影響は認められなかった.

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