日本薬理学雑誌
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ラットにおける甲状腺機能の変動がMAOI効果におよぼす影響脳の5-HT量,5-HIAA量,norepinephrine量,tyramine uptakeおよび直腸温の変動について
小林 雅文福与 恵俊樋口 肇竹内 敏夫
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1976 年 72 巻 1-2 号 p. 63-70

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抄録
Triiodothyronineを一定期間(70日間および7日間)注射したラットおよびpropylthiouracil含有食で飼育(70日間および30日間)したラットを用いて実験をおこない,次の結果を得た. A) triiodothyronine処置ラットについての成績: 1) 食物摂取量は対照群とほとんど差がなかったが,体重の増加は遅れ,死亡率は著しくたかまった. 2) 直腸温は正常の場合よりも高い値を示し,これはMAOI (tranylcypromine) を併用するとさらに著明になり,全般的に興奮状態を示した. 3) MAOI併用後の脳のtyramine uptake阻害効果, 5-HT量, 5-HIAA量, norepinephrine量の変動については,対照群のそれとの間に差を認めなかった. B) propylthiouracil処置ラットについての成績: 1) 食物摂取量が対照の1/2に減じ,体重の増加も遅れた.そして直腸温が著明に低下した,しかし死亡率は対照群と大差がなかった. 2) 70日間飼育後には脳5-HT量は対照よりも明らかに増加した.また5-HIAA量も著明に増加した.しかし脳norepinephrine量には著変が認められなかった. 3) 30日間飼育した群では, MAOI注射によって直腸温の低下の程度がさらに進んだ.これと同時に脳5-HIAA量は著明に減少した.しかし, 5-HT量, norepinephrine量の増加度, tyramine uptakeの阻害度は対照と大差がなかった.
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