日本薬理学雑誌
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ナトリウム透過性に影響を及ぼす薬物のカエル筋紡錘に対する作用
紺谷 仁工藤 佳久福田 英臣
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1976 年 72 巻 3 号 p. 325-330

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抄録

ウシガエルの第4長指伸筋の摘出筋紡錘を持続的に伸展させ,支配神経から求心性発射(約10Hz)を得た.ナトリウムイオン透過性を増大させる薬物grayanotoxin-I,veratridineおよびaconitineによって求心性発射頻度は著しく増加したが,増加後に減少した.そしてこのように発射頻度が減少している時i`,伝導性のスパイクに混ってabortive spikeが見られた.ナトリウムイオン透過性を減少させる薬物procaine,diphenylhydantoin,chlorpromazineおよびtetrodotoxinによって求心性発射頻度は著しく減少した.Procaine以外のこれら3薬物を適用した場合には,頻度が減少する過程においてabortive spikeの発現が見られた.Procaine存在下ではgrayanotoxin-I,veratridineおよびaconitineの発射頻度増加作用はprocaineによって拮抗された.ここに検討した薬物はいずれも筋紡錘に適用した場合発射頻度を変化させる濃度を神経幹に適用しても,伝導に変化を与えなかった.以上の実験結果は筋紡錘発射頻度が膜のナトリウムイオン透過性と非常に関係が深いことを示唆している.

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