日本薬理学雑誌
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72 巻, 3 号
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  • 藤田 直, 安田 正秀
    1976 年 72 巻 3 号 p. 279-286
    発行日: 1976年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
  • 萱嶋 憲保, 吐山 豊秋
    1976 年 72 巻 3 号 p. 287-291
    発行日: 1976年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    ネコにおける反射性嘔吐に対する制吐剤の評価方法を確立するために,copper sulfate経口嘔吐を代表例に取り上げ,反復投与実験を行った.10例のネコに対し毎週1回嘔吐閾値量copper sulfateを投与した所,通算80回の投与に対して70回に嘔吐があり,再現率88%であった.またこのcopper sulfate嘔吐が反射的餌匿吐である事を確認するため,経口投与による吸収銅イオンの嘔吐閾値を明らかにした.すなわち迷走神経を切除しかつ第4胸椎で脊髄切断したネコに,copper sulfate 80mg/headを投与したが嘔吐は見られず,160mgで一部のネコに嘔吐が出現した.以上の実験結果から,次の実験方法に従って制吐剤の評価を試験するのが適当と考えられる.成熟ネコ(2~3kg)を用いて,一定条件で飼育し健康である事を確認しながら,1週間に1回嘔吐実験を実施する.Copper sulfateの嘔吐閾値は10,20,40mg/headの3段階で測定し,40mgで嘔吐しない例や潜伏期が5分以内あるいは45分以上の例は除外する.制吐剤の効果は,閾値量copper sufateによる嘔吐が4例中3例抑制されれば,また実験例数が5例以上なら50%以上抑制されれば,有効と判定しうる.潜伏期の大幅な延長は抑制効果の1つの現われと見る事が出来るが,嘔吐回数の減少は指標にはならない.また強い作用を有する制吐剤の場合,閾値倍量のcopper sulfate嘔吐に対する抑制効果を試験する事も可能である.
  • 萱嶋 憲和, 吐山 豊秋
    1976 年 72 巻 3 号 p. 293-296
    発行日: 1976年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    先きに,反射性嘔吐に対する制吐剤の評価方法として,イヌ・ネコの経口copper sulfate嘔吐による効果判定基準を作り,報告した.今回,この基準に拠り,既知制吐剤のうち未梢性に働くか又は作用部位不明なもので,医学・獣医学の臨床でいまだに用いられているものについて検討した.イヌのcopper sulfate嘔吐に対し,ethyl aminobenzoate 0.5g/headの15,30分前投与は制吐作用が認められなかった.Cerium oxalate 0.1g/headは15分前投与では制吐作用を示さないが,30分前投与では微弱な制吐効果を認めた.半夏2.0g/head 15,30分前投与は何らの作用も見られず,半夏〓心湯エキス錠2.0g/headも制吐効果はなかった.一方,ネコについては,ethyl aminobenoate 0.5g/headの15,30,60分前投与,cerium oxalate 0.1g/headの15分前投与,半夏0.5g/headの15分前投与,gelatin 20g/headの15分前投与は,いずれも経口copper sulfate嘔吐に対し制吐作用を有するとは言えなかった.
  • 小野 信文, 古川 達雄
    1976 年 72 巻 3 号 p. 297-312
    発行日: 1976年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    Clonazepamの中枢神経作用を経口投与によりdiazepamや他抗けいれん薬のそれと比較検討した.Clonazepamはマウスの自発運動を初期に興奮傾向後抑制し,その抑制は6時間後にほぼ回復した.Rearingは著明に抑制した.ラットでは比較的大量で自発運動に影響を与えなかったが,rearingは著明に抑制し,4時間後に回復傾向を示した.マウスのmeth-amphetamineの自発運動興奮作用にtrimethadioneは影響しなかったが,clonazepamは増強させた.Clonazepam,diazepamlまラットの条件回避反応を大量(40mg/kg)で中程度抑制し,その作用持続はdiazepamは短く,clonazepamが長い.定率食餌強化反応では大量で投与1~2時間後にもっとも抑制し,作用強度はdiazepamが強かった.ラットの筋弛緩作用はclonazepamがdiazepamよりやや強く,またclonazepamはthiopental睡眠時間を延長した.マウスのpentetrazolけいれん抑制の強度はclonazepamが最も強く,diazepamの約22倍,trimethadioneの3,000倍以上,phenytoinの178倍以上であった.Clonazepamとtrimethadioneあるいはphenytoinの併用投与による抗けいれん作用は単独投与時に比較し,trimethadioneは約4倍,phenytoinは約3倍に増強され,作用協力が認められた.Bemegrideけいれん抑制作用はclonazepamはdiazepamより約12~14倍強かった.Clonazepamはstrychnineけいれんには影響を与えなかった.最大電撃けいれんの抑制作用はclonazepamは弱く,phenacemideの約0.71倍,phenytoinの約0.14倍,phenobarbitalの約0.25倍の強さであった.Clonazepamとこれら抗けいれん薬の併用投与による抗けいれん作用は単独投与時に比較し,phenacemide,phenytoinは5.1倍,phenobarbitalは4.1倍と増強され,作用協力が認められた.マウスの経口投与72時間後のLD50はclonazepam4000mg/kg以上,phenacemide5000mg/kg以上,phenytoin650mg/kgで,clonazepamの毒性は著しく弱かった.Clonazepam500mg/kgとphenacemideあるいはphenytoinの併用投与によるLD50はphenacemidc1140mg/kg,phenytoinl18mglkgで,毒性が増強した.したがってclonazepamはbenzodiazepineとしての中枢作用,とくに強力な抗けいれん作用を有し,その作用は他抗けいれん薬と協力する.
  • 平林 紀雄, 相澤 義雄
    1976 年 72 巻 3 号 p. 313-317
    発行日: 1976年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    胸管痩ラットを作成し,cholesterolの腸管からの吸収に対するursodesoxycholic acidおよびcholic acidの作用について研究を行なった.その結果,24時間までにリンパ液中に吸収された総cholesterol-4-14Cの吸収率が対照群で21.0%であるのに対しcholic acid250mg/kg投与群では30.6%と増加し,cholesterolの吸収を促進した.一方,ursodesoxycholic acid250mg/kg投与群の総cholesterol-4-14Cの吸収率は12.1%と著明に減少し,cholesterolの吸収を明らかに抑制した.しかし,ursodesoxycholic acid25mg/kg投与群には,この様な吸収抑制作用は認められず,ほぼ対照群の値と同等であった.また,これ等の吸収率を経時的に検討し,ursodesoxycholic acidとcholic acidには,小腸のcholesterol吸収に対する作用に明らかな差異があることを認めた.
  • 紺谷 仁, 工藤 佳久, 福田 英臣
    1976 年 72 巻 3 号 p. 319-323
    発行日: 1976年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    ウシガエル第4長指伸筋の摘出筋紡錘を支配する神経から求心性発射を記録した.持続的に筋紡錘を伸展させて得られた約10Hzの発射は,Ca2+,Mg2+またはMn2+(1.0~8.0mM)をCa2+2.0mM含む正常リソゲル液に加えると著しく減少し,その減少は濃度に依存していた.Ca2+またはMn2+(4.0mM)を加えて発射が減少している時期には,abortive spikeの出現が見られた.しかし,Mg2+(4.0mM)の場合ではabortive spikeは見られなかった.リソゲル液からCa2+を除去すると発射の頻度は増加し,それはCa2+(2.0mM),Mg2+(2.3mM)またはMn2+(1.8mM)を加えることによりもとの発射レルベにまでもどった.これらのイオンの高濃度を神経幹に適用しても求心性発射の伝導には変化が見られなかった.以上より,外液Ca2+は筋紡錘の求心性発射機構の抑制に関与していることが明らかである.このCa2+作用はMg2+やMn2+によって代償されるので,特異的なものではないと考えた.
  • 紺谷 仁, 工藤 佳久, 福田 英臣
    1976 年 72 巻 3 号 p. 325-330
    発行日: 1976年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    ウシガエルの第4長指伸筋の摘出筋紡錘を持続的に伸展させ,支配神経から求心性発射(約10Hz)を得た.ナトリウムイオン透過性を増大させる薬物grayanotoxin-I,veratridineおよびaconitineによって求心性発射頻度は著しく増加したが,増加後に減少した.そしてこのように発射頻度が減少している時i`,伝導性のスパイクに混ってabortive spikeが見られた.ナトリウムイオン透過性を減少させる薬物procaine,diphenylhydantoin,chlorpromazineおよびtetrodotoxinによって求心性発射頻度は著しく減少した.Procaine以外のこれら3薬物を適用した場合には,頻度が減少する過程においてabortive spikeの発現が見られた.Procaine存在下ではgrayanotoxin-I,veratridineおよびaconitineの発射頻度増加作用はprocaineによって拮抗された.ここに検討した薬物はいずれも筋紡錘に適用した場合発射頻度を変化させる濃度を神経幹に適用しても,伝導に変化を与えなかった.以上の実験結果は筋紡錘発射頻度が膜のナトリウムイオン透過性と非常に関係が深いことを示唆している.
  • 小澤 光, 弘中 豊
    1976 年 72 巻 3 号 p. 331-340
    発行日: 1976年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    交感神経ニューロン遮断作用を有するdl-Mandelamidine(Olmidine,MA)と他の降圧薬との相互作用を,腹大動脈内へ細いpolycthylene tubeを永続的に埋え込んだラットを用いて,無麻酔下において検討して,つぎの結果を得た.1)交感神経ニューロン遮断薬のguanethidine,利尿降圧薬のhydrochlorothiazideは,MAとの併用により単独投与時におけるよりも強い降圧作用が認められた.2)MAとreserpineとの併用により単独投与時におけるよりも降圧作用は弱くなった.3)交感神経中枢抑制薬のclonidine,自律神経節遮断薬のC6,β-受容体遮断薬のpropranoion,末梢血管拡張薬のhydralazineなどは,MAとの併用によっても単独投与時の降圧作用とほとんど変化はなかった.心拍数に関しては,MAのみではほとんど変化が認められず,MAとの併用により増加がみられたのはreserpine,C6であり,逆に減少したのはguanethidine,clonidinc,propranolol,hydralazineであった.また,ほとんど変化しなかったのはhydrochlorothiazideであった.
  • 郡 英明, 森田 誠治, 中川 量之, 西野 広
    1976 年 72 巻 3 号 p. 341-350
    発行日: 1976年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    新β-遮断薬3H-carteololはマウス静脈内または経口投与した場合比較的早期に眼および脳を除きほぼ全臓器に分布し,特に腎臓,肝臓,胆嚢および小腸内容中に高い放射活性がみられた.その後速やかに各組織より消失し,投与された3H-carteololは主に尿と胆汁を介して排泄されていることが認められた.投与された3H-cartcololの排泄される過程で肝臓胆嚢および小腸内容物中に比較的高い放射活性の残存が確認された,Propranololは脳に移行し,血液脳関門を容易に通過するのに対してcarteololは脳への移行は極く僅かであった.副腎髄質に放射活性の局在することが認められた.静脈内に投与した場合でも胃内容中に放射活性が移行していることが認められた.胎仔への移行は母体の主要臓器に比し少量ながらも認められたが,速やかに消失した.Carteololとその代謝産物が血液脳関門および胎盤を通過する量は僅かであった.
  • 柳浦 才三, 阿部 洋一, 峯尾 好生
    1976 年 72 巻 3 号 p. 351-361
    発行日: 1976年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    著者らは薬物の向精神作用を検索する目的で,視床下部刺激下の逃走行動を潜時,閾値,軌跡量を指標として論じて来た.しかし,1,4-Benzodiazepine誘導体は必ずしも用量-作用の関係は得られず,また,抑制されない例もあった.今回,ウサギに3つの葛藤状況の行動モデルを設定して,作用検索をした.用量は著者らの方法でマウスによる筋弛緩と鎮静作用を検索し,強さの程度がNTP>DZP>CPZ≈CDP>PBTであったので,マウスの成績を参考にして,ウサギの行動に出来るだけ影響の少ないことを確め決定した.(1)視床下部刺激下の逃走行動を軌跡パターンから検索した場合,chlorpromazine5mg/kgはうなり声を伴った連続走行を生じ,diazepam1~5mg/kg,chlordiazepoxidc10mg/kg,nitrazepam1mg/kgは不連続走行から,円滑な連続走行に移行した.Phenobarbital-Na30mg/kgは一過性に逃走行動を抑制した.Methamphethamine5mg/kgは連続走行に移行するが,頸部,四肢と躯幹の筋肉の緊張を伴っていた.(2)視床下部刺激後に生じる行動の頻度数から作用検索した場合,chlorpromazine5mg/kg,nitrazcpam1mg/kgおよび,methamphethamine5mg/kgは抑制されず,むしろ回数は増加傾向であった.Diazepam1~5mg/kg,chlordiazepoxide10mg/kgとphenobarbital-Na30mg/kgは抑制傾向であった.(3)逃走行動を条件づけし,その条件反応の行動様式から作用検索した場合,chlorpromazine5mg/kgは非連続走行を自律・体性反応に移行させる.また,消去試行下の行動と共通性がある。Diazepam5mg/kgは非連続走行を連続走行に移行する.Phenobarbital-Na30mg/kgは非連続走行から自律・体性反応に移行する.Methamphethamine5mg/kgは非連続走行を強め,後ずさりが生L"る.この行動様式は非連続走行期のウサギを,視床下部の刺激で増強し,強化した場合と同じである.以上の結果,葛藤状況の行動モデルを用いることによって,ある種の中枢作用薬の向精神作用を解析することは可能であることが判明した.
  • 山崎 正寿, 池田 康雄, 石川 正恒, 稲垣 千代子, 田中 千賀子
    1976 年 72 巻 3 号 p. 363-369
    発行日: 1976年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    振戦に対するnoradrenergic neuron systemの関与を明らかにする目的で,harmaline誘発性振戦へのnorepinephrine前駆物質である,3,4-dihydroxyphenylserine(DOPS)i.p.投与の影響について検討し,次のような結果を得た.1)L-threo-DOPS200mg/kgは,マウスの自発運動を抑制した.2)α-methyl-p-tyrosine200mg/kgにより,harmaline10mg/kg誘発性振戦は増強された.3)L-threo-DOPS50,70,100,150,および200mg/kgは,harmaline誘発性振戦10mg/kgの発生とその持続を抑制したが,D-threo-DOPS200mg/kg,DL-erythro-DOPS200mg/kgには,harmaline誘発性振戦の抑制効果はみられなかった.4)L-threo-DOPS200mg/kgによって,tremorine5および10mg/kg誘発性振戦は影響されなかったが,流涙,下痢は抑制された.5)Harmaline10mg/kgにより,マウス脳内のnorepinephrine量は変化しなかったが,serotonin量は増加した.一方,L-threo-DOPS100mg/kgにより,マウス脳内のnorepinephrine量は増加したが,serqtonin量は変化しなかった.以上の成績は,L-threo-DOPSはマウスの脳内で,L-norepinephrineに生合成され,harmaline誘発性振戦を抑制することを示し,harmaline振戦の発生機序へのnoradrenergic mechanismの関与を示唆するものである.
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