日本薬理学雑誌
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熱刺激に対するDifenamizoleの鎮痛作用と生体アミンとの関係
亀山 勉鍋島 俊隆
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1976 年 72 巻 5 号 p. 543-556

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抄録

Difenamizoleの鎮痛作用に生体アミンがどのような影響をおよぼすかmorphincおよびaminopyrineの鎮痛作用と比較検討した.鎮痛作用は,マウスについては熱板法を,ラットにおいては熱湯刺激法を使用し測定した.5-hydroxytryptophan(5-HTP)とL-dopaは熱板法においてmorphineの鎮痛作用を増強し,difenamizoleの作用とは拮抗した.p-chlorophenylalanine(pCPA),α-methyl-p-tyrosine(α-MT)およびreserpineはmorphineの鎮痛作用に拮抗した.α-MTはdifenamizoleの作用を増強した.熱板法でのaminopyrineの鎮痛作用は,5-HTP,pCPA,L-dopaおよびα-MTを前処置してもほとんど影響を受けなかった.ラットでは,5-HTPは熱湯刺激法におけるmorphineの鎮痛作用に拮抗し,pCPA,L-dopaおよびα-MTはmorphineの作用に影響をおよぼさなかった.これら生体アミン関連薬物を前処置しても熱湯刺激法でのdifenamizoleの鎮痛作用には変化が認められなかった.他方,どちらの鎮痛測定法においても5-HTPを前処置すると脳内5-hydroxytryptamine含量は同じ程度Y`増加した.これらの結果からマウスを使用した熱板法におけるdifenamizoleおよびmorphineの鎮痛作用にはcatecholamineや5-hydroxytryptamineが関与していることが考えられるが,ラットを使用した熱湯刺激法でのこれら鎮痛薬の鎮痛作用には別の機序が関与しているように思われる.さらYom,生体アミンが鎮痛作用に関与する機構は鎮痛薬の種類によっても異なっていることが考えられる.

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