1976 年 72 巻 6 号 p. 701-708
本実験の目的は,視床下部刺激下の条件回避,逃避行動を指標として,2,3薬物の向精神作用の解析を試みることである.回避行動に対してchlorpromazine(CPZ)とdiazepam(DZP)は共に回避行動を抑制し,回避反応潜時と頭部運動潜時を共に延長した.さらに眼裂の開大,瞳孔散大などの自律反応も遅延した.また,軌跡量と頭部運動数はCPZ,DZP共に減少を示した.一方,逃避反応潜時については,CPZでは影響がみられなかったが,DZPはこれを延長させた.次に逃避行動に対してDZPはCPZと異なり,回避行動が出現し,軌跡量が増加した.methamphetamineでは,回避行動は出現しなかったが, 条件刺激下において,一般行動と逃避反応潜時は減少した.一方,chlordiazepoxideは,逃避行動から回避行動への移行が認められるなど,DZPと共通性がみられた.