日本薬理学雑誌
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視床内側核単一ニューロン活動に対するCapsaicinの作用
安藤 隆一郎小野寺 憲治嶋 啓節木皿 憲佐高橋 三雄大沢 啓助
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1977 年 73 巻 8 号 p. 955-959

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抄録
ネコを用い視床内側核の単一ニューロン活動に対するcapsaicinの作用を検討したところ次の結果が得られた.1)視床内側核より21個のニユーロンを単離したが,このうち10個は侵害刺激(皮膚のツメ付き鉗子によるpinch)および非侵害刺激(毛吹き,tapping)に反応し,6個は非侵害刺激のみに反応し,さらに残りの5個は刺激に全く反応しなかった.2)これら単離したすべてのニューロンについてcapsaicinの効果を検討したところ,侵害刺激と非侵害刺激の両方に反応する10個のニューロンは1個を除きすべてcapsaicinおよびbradykininに反応した.非侵害刺激のみに反応する6個のニューロンのうち5個はcapsaicinおよびbradykininに全く反応しなかったが,1個はニューロンの発火頻度が増加した.さらに刺激に対して全く反応を示さないニューロン5個はcapsaicinおよびbradykininにも全く反応しなかった.3)Bradykininに反応するニューロンはすべてcapsaicinに反応するが,ニューロンの反応潜時は著しく異なり,bradykininでの反応潜時は7.64±1.12秒,capsaicinのそれは0・97±0.07秒であった.4)Capsaicinによる発火頻度の増加はmorphineによって抑制され,naloxoneによって回復した.
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