γ-Oryzanolの胃液分泌抑制作用を解明するため,histamine,carbachol,tetragastrin刺激に対するγ-Oryzanolの影響をしらべるとともに,その作用発現における迷走神経,および内臓神経の関与の有無を検討した.その結果,γ-Oryzanol,100mg/kg,s.c.を1日1回5日間連続投与すると,histamine刺激のピーク時よりも後半に抑制が認められた.carbachol刺激には有意の影響が見られず,tetragastrin刺激効果の明らかな抑制が認められた.この抑制作用は,迷走神経切断によって消失したが,内臓神経切断によっては影響されなかった.これらのことより,γ-oryzanolの胃液分泌抑制作用は,内臓神経系よりもむしろ,迷走神経系の関与が大と思われる.また,この作用発現には,γ-oryzanolの脳内カテコールアミン増量作用が関与するものであろうと推論した.