日本薬理学雑誌
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Lysolecithnによる赤血球の膜電位変化と膜透過性充進に対するCholestero1の抑制作用
篠沢 真哉荒木 泰典内海 耕慥
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1978 年 74 巻 2 号 p. 297-302

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抄録

Lysolecithinによる赤血球の膜電位変化とK+の膜透過性元進に対するcholestero1の効果について検討した.Cholesterolはlysolecithinで処理したウサギ赤血球からのK+の遊出を抑制し,その抑制効果は3.3×10-6Mに至適濃度が存在し,1.25μg/mlの濃度のlysolecithinに対してほぼ100%の抑制率を示した.Lysolecithinを赤血球に作用させると螢光色素法によって内部負の膜電位の増大を示すことが判明するが,cholesterolはこの変化を抑制し,その抑制効果はほぼ濃度依存性を示した.このようなK+の膜透過性充進や膜電位変化のcholesterolによる抑制作用は赤血球膜に対する膜安定化作用であり,癌細胞や白血病細胞などの細胞の悪性化にともなう膜流動性の増大や膜透過性の亢進といった現象に対する拮抗因子として期待される.

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