抄録
ラットを用いてifenprodilの身体依存形成能試験を行い以下の成績を得た.Ifenprodil 100,200および400mg/kgの経口適用ならびに50および100mg/kgを筋肉内注射することにより鎮静,眼瞼下垂,全身性筋弛緩,運動量の減少等の中枢抑制症状が用量に依存して強くみられた.これらの症状は4時間前後持続した.Ifenprodil混入飼料を0.5vs. 1mg/g foodから4mg/g foodまで53~103日間(43~240mg/kg/day)にわたり漸増適用し,適用期間中適時1あるいは3日間休薬した.休薬により体重が減少する例があったが(0.8~1.7%)対照群に比べ有意差(p<0.05)はなく禁断症状と思われる変化も認められなかった.Phenobarbital依存ラット(4mg/g fbod,平均phenobarbital摂取量200mg/kg/day)にifenprodil 100,200および400mg/kg(p.o.)ならびに50および100mg/kg(i.m.)を交叉適用した結果phenobarbitalの禁断症状を一部抑制したが,依存性に非特異的な反応であり,交叉依存能は認められなかった.Morphineとの交叉身体依存性試験においてifenprodilの50および100mg/kg(p.o.)ならびに50mg/kg(i.m.)適用ではi禁断症状の抑制あるいはmorphine依存維持能を認めなかった.また290mg/kg(p.o.)適用群では交叉適用期間申振顫,体温下降が発現し5例中4例が過剰用量により死亡した.Ifenprodil連続適用期閲中30,60および113日目にlevallorphan(2mg/kg s.c.)を適用した結果,Morphine適用群にみられた下痢,“wet shakes”および急激な体重減少等の禁断症状は発現しなかった.本実験からifenprodilの身体依存性は認められなかった.