抄録
摘出ウサギ大動脈ならびに脳,冠,腎,上腸間膜および大腿動脈のラセン状条片標本を用いてindapamideの作用を検討した.ProstaglandinF2αであらかじめ収縮させたこれら標本においてindapamide 3×10-5M以上の用量は有意の弛緩をひきおこした.弛緩の程度は脳,冠および腎動脈において大であった.Atropine,propranololおよびaminophyllineはindapamideの弛緩作用を抑制しなかった.同様の弛緩は比較に用いたhydrochlorothiazideによってもみられたが,その程度はindapamideに比べて軽度であった.Indapamide 3×10-5M以上の用量による前処置はnicotine 10-4Mおよびtyramine 2×10-5Mによる上腸間膜動脈の収縮を有意に抑制し,この作用はhydrochlorothiazideおよびtrichlormethiazideのそれに比して明らかに強かった.経壁刺激による肺動脈条片の収縮はIndapamideによって抑制されずかえって軽度に増強された.Noradrenalineの用量作用曲線はIndapamide 3×10-4Mまでの前処置によって影響をうけなかった.交感神経節前線維刺激による麻酔ネコ瞬膜の収縮はindapamideによって影響をうけなかった.以上の成績から,indapamideは動脈平滑筋に直接作用してこれを弛緩することが示唆される.また,indapamideは交感神経節後線維末端からのnoradrenaline遊離を抑制せず,節遮断効果をも示さないが,神経末端へのアミン摂取を阻害することによってnicotineとtyramineの血管作用を抑制するようである.