日本薬理学雑誌
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74 巻, 3 号
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  • 江田 昭英, 井上 吉郎, 中村 邦裕, 森 裕志
    1978 年 74 巻 3 号 p. 317-323
    発行日: 1978年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    自律神経系作用薬の気道分泌に及ぼす影響をラットを用いて実験した.pilocarpineの5mg/kgの腹腔内投与は分泌量を著明に増加し,分泌物中の糖質量をも著明に増加した.蛋自質量は軽度減少の傾向を示したが,粘度にはほとんど影響がみられなかった.pilocarpineによる気道分泌の変化はatropineの2.5mg/kgの前投与によって完全に抑制され,分泌量は減少に転じた.これに対して交感神経系作用薬の影響は弱く,noradrenalineの100μg/kgでは若干の分泌量および蛋白質量の減少がみられ,adrenalineではほとんど影響がみられなかった.isoprotercnolでは粘度を軽度減少した.phentolamineの1mg/kgの投与は粘度および蛋白質量を軽度減少し,糖質量を軽度増加した.また,同量のpropranololは分泌量および糖質量を明らかに減少し,蛋臼質量も軽度減少した.phentolamincを前処置した場合にはnoradrenalineによって糖質量が著明に増加し,isoproterenolによって分泌量および糖質量が著明に増加した.propranololを前処置した場合にはnoradrenalineによって分泌量,蛋白質量および糖質量が軽度減少し,isoproterenolによって分泌量は明らかに減少し,蛋白質量も減少した.isoproterenol50μg/kg/dayの2週間以上の連続投与により分泌量,粘度および蛋白質量が増加し,特に粘度の増加は顕著であった.
  • 清水 忠重, 相澤 義雄
    1978 年 74 巻 3 号 p. 325-333
    発行日: 1978年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    ラット子宮収縮に対するprostaglandin F(PGF)の遅延作用とこれに及ぼす卵胞ホルモンの影響について検討を行った.その結果,1)estrusラット子宮でPGE2,PGFおよびoxytocinの収縮作用とPGFの内圧上昇作用に,PGFの遅延効果が現われ有意に子宮の反応控を増大した.一方,diestrusラット子宮ではPGFの遅延効果は認められなかった.2)卵巣摘出ラット子宮では,PGFの遅延効果は認められなかったが,estrone投与ラット子宮ではPGE2とPGFによる子宮収縮および内圧上昇とも増大した.しかしoxytocinの作用には変化を与えず,PGの作用に特異的に効果が発現した.3)ラット輸精管および空腸におけるnoradrenaline,acetylcholine,BaCl2とPGFの収縮作用に対してはPGFの遅延効果は認められず,子宮平滑筋に特異的に現われることが解った.これらのことから,PGFの遅延効果はラット子宮のPGに対する反応性に特異的に起こるものであり,きらに卵胞ホルモンが重要な役割を演じていることが推察された.
  • 荒起 清, 大橋 冨次, 五味 保男
    1978 年 74 巻 3 号 p. 335-343
    発行日: 1978年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    1)N,N-dimethylethylenediamine誘導体12種のepinephrine昇圧増強作用を調べたところ,epinephrineの昇圧作用を著るしく増強する物質として, tripelennamine, N,N-dimethyl-N', N'-dibenzylethylenediamine(I)およびN1,N1-dibenzyl-N2,N2-dimethyl-1,2-pro-panediamine(II)が見いだされた.2)cocaine,tripelennamine,(I)および(II)はnorepinephrineの昇圧作用も増強したが,(I)および(II)はnorepinephrineよりもepinephrineを強く増強し,tripelennamineおよびcocaineはnorepinephrineを強く増強した.3)(I)および(II)はtyramineの昇圧作用を増強したが, tripelennamineおよびcocaineはtyramineの昇圧作用を減弱した.4)(I),(II),tripelennamineおよびcocaineはisoproterenolおよびacetylcholineの降圧作用に影響を及ぼさなかった.5)histamineの降圧作用はtripelcenn-amineよって抑制きれたが,他の3つの化合物によって何ら影響を受けなかった.6)pithedratにおけるepinephrineの昇圧作用をcocaine,tripelennamine,(I)および(II)は増強した.7)reserpinized ratのepinephrineに対する感受性は未処置のものに較べて約8倍高かったが,(II),cocaineおよびtripelennamineはrescrpinized ratにおけるepinephrineの昇圧作用をさらに2倍増強した.8)後肢血管灌流実験で,(I),(II),tripelennamineおよびcocaineはepinephrine,norepinephrineの作用を増強した.しかも増強効果の絶対値は小さいながらepinephrineとnorepinephrine反応の増強作用の間には2)と同様な相対的な関係が得られた.以上の結果から,(I),(II),tripelennamineおよびcocaineは昇圧反応を増強し,その作用は末梢性であり,cocaineおよびtripelennamineの増強作用は交感神経終末におけるamine uptake機構の阻害,(I)および(II)の増強作用はそれ以外の機序によって生じると考えられる.またcocaineおよびtripelennamineの増強作用の一部としてuptake阻害以外の作用機序の関与している可能性も残されている.
  • 柳浦 才三, 西村 友男, 細川 友和, 阿部 洋一, 岩瀬 博明
    1978 年 74 巻 3 号 p. 345-352
    発行日: 1978年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    1,1-dimethyl-4-phenylpiperazinium iodide(DMPP)適用によって誘発される咳様反射を応用して,咳漱反射の機序を検索する目的でイヌを用いて実験した.α-chloralose麻酔下において,DMPP2~10μg/kg i.v.,1~5μg/kg頸動脈内適用(i.a.)のほか,lobeline 100~400μg/kg i.v.,nicotine 5~20μg/kg i.v.の適用によっても咳様反射が誘発された.Histamine 10~20μg/kg i.v.適用では呼吸数の増加がみられたが,咳様反射は認められなかった.反復適用の場合,DMPPはtachphylaxisは認められないが,lobelineとnicotineには認められた.呼吸抵抗は,DMPP i.v.適用では変化しなかったが,DMPP i.a.,lobeline,nicotineおよびhistamine i.v.適用では増加した.DMPP i.v.適用による咳様反射は,morphine,codeine,oxymethebanol,picoperidamine,piclobetolにより抑制され,そのED50は気管粘膜の電気的刺激法により誘発された咳嗽に対するED50よりも,1.6~10倍高用量であった.また,DMPPによる咳様反射は,benzonatateにより軽度の抑制,hexamethoniumにより著明な抑制,両側迷走神経切断および,両側頸動脈洞神経切断により消失した.これに反し,isoproterenol,ephedrine,atropine,propranololは,DMPP適用による咳様反射に対して影響がみられなかった.以上,DMPP適用による咳様反射に対する薬物の影響から,この反射は気管粘膜の電気的刺激法による咳漱の誘発機序とはかなり異なり,頸動脈体の化学受容器を介する呼吸中枢性の作用であると考えられる.今後,両者の方法を用いて鎮咳薬の作用態度を追求することによって,中枢性か末梢性かを判別する一手段として応用できると考えられる.
  • 小澤 光, 三浦 力, 佐藤 正
    1978 年 74 巻 3 号 p. 353-359
    発行日: 1978年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    ステロイドミオパチーの生化学的機序を解明する一環として,糖質コルチコイドの1回投与および連続投与がマウス骨格筋のglycogen量およびglycogen合成酵素活性に及ぼす影響を,肝のそれと比較し,検討した.得られた成績は次の通りである.1)Triamcinolone acetonide(TA,5mg/kg i.p.)の1回投与後,筋glycogen量は投与12時間後付近で最も高く,24時間前後に投与前のレベルに戻った.筋のglycogen合成酵素活性は,総活性が著しい変動を示さなかったが,I型活性とその総活性に対する割合はともに投与6時間後に一過性に増加した.これらの結果は肝においても同様に認められた.2)TAの1週間連続投与後,筋glycogenの蓄積は,1回投与によるそれに比べ著しく減弱した.またI型活性とその総活性に対する割合には増加が認められず,対照に比べむしろ減少した.これらの結果は肝においても同様に認められた.3)TAの1回投与,連続投与のいずれでも,対照に比べ血糖値はやや減少した.また筋組織中のglucose量には有意な変動は認められなかったが,G-6-P量は投与回数にかかわらず著しく増加した.以上の結果から,糖質コルチコイド連続投与によるマウス骨格筋におけるglycogen蓄積の減弱は,主にglycogen合成酵素系の異常に起因することが示唆された.
  • 川島 博行, 保科 憲二, 岡宮 芳明, 蒔田 徳太郎, 橋本 喜信, 石本 祐男, 野口 照久, 折茂 肇
    1978 年 74 巻 3 号 p. 361-382
    発行日: 1978年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    活性型ビタミンD3アナローグである1α-hydroxycholecalciferolのCaおよびPの動態におよぼす影響について検討した.45Caでラベルしたラットに12.5μg/kgの1α-hydroxy-cholecalciferolを連日経口投与すると,血清のCaレベルは著明に増加した(14~15mg/dl).血清の比放射能は血清Caより1~2日遅れて上昇したが,このことは,はじめ腸管からのCaの吸収が促進され,ついで骨からのCaのreleaseすなわち骨吸収が亢進したものと考えられた.尿へのCaの排泄は血清のCaの上昇に先行して増加し,血清Caが最大値を示す時期ではすでに下降しはじめ,後半ではcontrolと同じレベルを保った.血清ならびに尿中のPは変化しなかった.糞中のCaならびにPは摂餌量の減少にともなって低下した.投与後11日目に骨ならびに軟部組織のCa含量を測定したところ,骨ではCa含量がcontrolに比して有意に減少しており,netのbone resorptionが亢進されたことが明らかである.これに対して,筋肉や大動脈などの軟部組織では1α-hydroxycholecalciferol投与群に著しいCa含量の上昇すなわち石灰沈着が認められた.2.5μg/kg投与群ではCaの動きは,12.5μg/kgの場合に比して緩和であったが,ほぼ同様なpatternを示した.腸管からのCa吸収能は11日目にはcontroiのレベルに戻っていた.骨のCa含量は低下傾向を認めたが,controlとの間に有意差はなかった.これに対して軟部組織の石灰化は,腎臓以外には認められなかった.さらに6ケ月間の連続経口投与により,用量依存的に骨のCa含量が増加した.このとき,hypercal-cemiaを呈したのは0.5μg/kg/day(highest dose)のみであった.軟部組織については0.5μg/kg投与群で腎にCa沈着が認められたが,心臓では認められなかった.このように,1α-hydroxycholecalciferolは少量連続投与すれば,骨へのCa沈着を,軟部組織への石灰沈着なしに,増加し得ることが明らかとなった.1α-HCC腸管からのCa吸収促進作用と相侯って,種々の骨疾患への応用が期待される.
  • 小澤 光, 後藤 正義, 高橋 美智子, 植松 利男
    1978 年 74 巻 3 号 p. 383-388
    発行日: 1978年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    epinephrineとclonidineのinsulin分泌におよぼす影響をマウスin vivoの実験系で検討した.epinephrine 500μg/kgを皮下投与すると血糖値はほとんど変化せず,血漿insulin(IRI)は漸次増加する傾向を示した.glucose 1g/kgの静脈内投与はIRI,血糖値共に増加させた.epinephrineはglucose刺激によるIRIの増加を抑制し,この抑制効果は交感神経α遮断薬であるphentolamineで消失し,交感神経β遮断薬であるpropranololで増強された.phentolamine投与時にはepinephrine単独投与時よりもさらに大きなIRIの増加がみられた.これらの結果は,交感神経α受容体刺激効果はglucose刺激によるinsulin分泌を抑制し,交感神経β受容体刺激効果は促進することを示唆するものと思われる.絶食時におけるclonidine 30,100,300μg/kgの皮下投与はIRIをわずかに減少させ,血糖値を上昇させた.この血糖値の上昇はclonidineの投与量に依存して増大した.clonidine 100μg/kgの静脈内投与はglucose刺激によるinsulin分泌を抑制し,血糖値を著明に増大させた.このclonidineによるinsulin分泌の抑制は,phentolamineによって消失した.一方propranololはこの抑制効果を消失させなかった.これらの結果をcpinephrine投与群の結果と比較すると,clonidineは膵β細胞よりのinsulin分泌において交感神経α受容体刺激効果を示していると考えられる.
  • 臼井 八郎, 神田 守, 大隅 清明, 赤 隆, 戸田 昇
    1978 年 74 巻 3 号 p. 389-396
    発行日: 1978年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    摘出ウサギ大動脈ならびに脳,冠,腎,上腸間膜および大腿動脈のラセン状条片標本を用いてindapamideの作用を検討した.ProstaglandinFであらかじめ収縮させたこれら標本においてindapamide 3×10-5M以上の用量は有意の弛緩をひきおこした.弛緩の程度は脳,冠および腎動脈において大であった.Atropine,propranololおよびaminophyllineはindapamideの弛緩作用を抑制しなかった.同様の弛緩は比較に用いたhydrochlorothiazideによってもみられたが,その程度はindapamideに比べて軽度であった.Indapamide 3×10-5M以上の用量による前処置はnicotine 10-4Mおよびtyramine 2×10-5Mによる上腸間膜動脈の収縮を有意に抑制し,この作用はhydrochlorothiazideおよびtrichlormethiazideのそれに比して明らかに強かった.経壁刺激による肺動脈条片の収縮はIndapamideによって抑制されずかえって軽度に増強された.Noradrenalineの用量作用曲線はIndapamide 3×10-4Mまでの前処置によって影響をうけなかった.交感神経節前線維刺激による麻酔ネコ瞬膜の収縮はindapamideによって影響をうけなかった.以上の成績から,indapamideは動脈平滑筋に直接作用してこれを弛緩することが示唆される.また,indapamideは交感神経節後線維末端からのnoradrenaline遊離を抑制せず,節遮断効果をも示さないが,神経末端へのアミン摂取を阻害することによってnicotineとtyramineの血管作用を抑制するようである.
  • 安部 不二夫
    1978 年 74 巻 3 号 p. 397-407
    発行日: 1978年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    著者らがすでに報告した神経節隔絶法を改変した方法を用いることにより,交感神経節のシナプス伝達に影響をおよぼすとされている諸種薬物のモルモット下腹神経節における作用態度を検討し,本神経節の薬理学的性質を示唆する以下の成績を得た.(1)acetylcholine(ACh)およびdimethylphenylpiperazinium(DMPP)は,ともに精管を収縮きせた(ACh収縮およびDMPP収縮).(2)neostigmineは,DMPP収縮に影響をおよぼさず,ACh収縮を強く増強した.(3)hemicholinium-3は,節前神経に与えた電気刺激により惹起された精管の収縮(NS収縮)を抑制したが,ACh収縮およびDMPP収縮にはまったく影響をおよぼさなかった.(4)morphineは,NS収縮を抑制したが,ACh収縮およびDMPP収縮には影響をおよぼさなかった.(5)hexamethoniumは,NS収縮,ACh収縮およびDMPP収縮をすべて抑制した.(6)tetanic stimulationの前後に投与したmethacholineおよびbethanecholは,精管を収縮させなかった.(7)atropilneは,NS収縮,ACh収縮およびDMPP収縮に影響をおよぼさなかった.本研究において得られた実験成績から,モルモット下腹神経節のシナプス伝達は,従来の説に準じ,化学伝達物質AChによってnicotinic receptorを介して行なわれることが示唆された.しかし,上頸神経節などの他の交感神経節で報告されているようなmuscarinic receptorの存在を示す成績は,得られなかった.
  • 安部 不二夫, 大鳥居 健
    1978 年 74 巻 3 号 p. 409-418
    発行日: 1978年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    モルモットの下腹神経一精管標本において,節前神経に与えた電気刺激によって惹起された精管の収縮(NS収縮)を指標に,下腹神経節に選択的に投与したsodium picrate(picricacid-Na:PA)の本神経節における薬理学的性質を検討し以下の成績を得た.(1)PAおよびAChは,ともにNS収縮を用量依存的に一過性に増大させた.(2)NS収縮を完全に抑制する最少濃度のhexamethonium(C6)の前処置下で,PAは抑制された収縮を回復させた.このPAによるNS収縮の回復は,C6をさらに増量処置すれば,みられなかった.(3)neostigmine存在下において,PAとAChのNS収縮に対する作用は,ともに増強された.しかし,neostigmineの前者に対する増強効果は,後者と比較して軽度であった.(4)atropilneは,PAのNS収縮増大作用に影響をおよぼさなかった.(5)hemicholinium-3(HC-3)の前処置によるNS収縮抑制下で,同一濃度のPAの投与を反復したとき,PAにより発現するNS収縮の回復効果は,最初の投与では著明であるが,反復投与の回数を重ねるたびに減少し,数回の投与後においては消失した.一方,HC-3投与によって抑制されたNS収縮に対するAChの回復効果は,PAのそれに比較して軽度であるが,PAの反復投与時にみられたNS収縮に対する回復効果の急速な消失は,ACh反復投与においては認められなかった.(6)NS収縮を完全に抑制する一定濃度のmorphine存在下においては,PAおよびAChは,ともにNS収縮を回復させた.しかし,AChの回復効果は,PAと比較して弱かった.以上の成績から,PAとAChのNS収縮増大作用の機序は,異なることが示唆され,この相違は,PAが節前神経からACh遊離を促進させる可能性を推察させた.
  • 亀山 勉, 鍋島 俊隆, 高橋 和幸
    1978 年 74 巻 3 号 p. 419-426
    発行日: 1978年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    実験動物の聴覚閾を正確にかつ簡単に測定するため,音源に対するラットの位置,方向が一定となり,また,比較的短期間に訓練可能なresponse duration scheduleに条件反応を組み合わせたscheduleを取り上げ検討した.Skinner箱は,音の反射を避けるためレバーおよび音源部を除き,総て鉄格子とした.実験scheduleとして,ラットが一定時間以上レパーを押している時条件刺激を提示し,刺激提示中にレバーを離した時のみ強化として水0.01mlを与えた.聴覚閾は,条件刺激提示後レバーを離すまでの反応潜時を指標として判定し,レバーを離す反応の特異性は,光刺激を条件刺激としてチェックした.周波数を一定(3kHz)とし,音圧を低下させるとレバーを離すまでの反応潜時が徐々に延長し,一定の音圧以下でこの反応潜時が急速に延長した.しかし,光刺激では,この反応潜時に顕著な影響がみられなかった.また,ラットに耳栓をしたり,鼓膜を損傷したときの聴覚閾の上昇をとらえることができた.次に薬物による聴覚障害について検討した.streptomycin sulfate(300mg/kg/day,i.m.)を40日間連投しても聴覚閾は変化しなかったが,streptomycin sulfate(300mg/kg/day,i.m.)とethacrynic acid(50mg/kg/day,p.o.)を併用すると40日目で,ethacrynic acid(100mg/kg/day,p.o.)を併用すると10日目で聴覚閾の上昇が認められた.
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