日本薬理学雑誌
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新しいアトピー性疾患治療剤, N- (3', 4'-dimethoxycinnamoyl) anthranilic acid (N-5') の薬理学的性質 (3)
受身皮膚アナフィラキシー (PCA) におよぼす影響
中沢 政之吉村 哲郎内藤 惇東 洋
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1978 年 74 巻 4 号 p. 467-472

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抄録

種の条件下での受身皮膚アナフィラキシー (PCA) におよぼすN- (3', 4'-dimethoxy-cinnamoyl) anthranilic acid (N-5') の影響について検討し, 以下の成績を得た. (1) N-5' (100および200mg/kg) はPCA惹起30または60分前に経口投与した場合に最大の抑制作用を示し, 240分前処置では抑制作用はごく軽微であった. Disodium cromoglycate (DSCG, 150mg/kg) は経口投与ではPCAに対してほとんど影響しなかった. (2) N-5' (20mg/kg) およびDSCG (5mg/kg) は, いずれもPCA惹起5分前に静脈内投与した場合に最大の抑制作用を示し, DSCGの場合, 以後抑制作用は著明に減弱し, 30または60分前処置では作用はごく軽微となるのに対して, N-5'では120分前処置でも明らかな抑制作用が認められた. (3) 最大抑制作用発現時でのN-5'およびDSCGのPCAに対するED50は, それぞれ8.8および0.79mg/kgであった. (4) N-5' (37.5~300mg/kg, p. o.) の副腎摘出ラットにおけるPCA抑制作用の程度は, 偽手術群におけるそれと差がなかった. (5) 生後3週齢のラットにおけるN-5'のPCA抑制作用の程度は, 成熟ラットにおけるそれよりも強かった. (6) N-5' (75および150mg/kg) を1, 2, 3および4週間にわたり連続経口投与しても, PCAに対する抑制作用の程度は1回投与時のそれと差がなく, 体重増加の抑性作用も認められなかった.

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