日本薬理学雑誌
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Benzodiazepine誘導体Triazolamの条件行動に対する作用
五味田 裕五味田 裕子中胡 初美片岡 泰文植木 昭和
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1978 年 74 巻 5 号 p. 615-628

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抄録

ラットを用いて4種類の条件行動に対するtriazolamの作用をdiazopamのそれと比較した.(1)Shuttle box法におけるラットの条件回避反応はtriazolamおよびdiazepamの大量によって抑制され,その作用のED50はtriazolam 28.2(14.1~56.4),diazepam 46.0(30.1~70.4)mg/kg,p.o.であった.しかし両薬物とも回避反応を抑制する用量では逃避反応まで抑制されることが多く,neurolepticsの作用とは異なる.(2)Step-down法によるラットの受動的条件回避反応は,triazolamおよびdiazepamの40mg/kg,p.o.の大量投与でも影響を受けなかった.Chlorpromazineはこの回避反応を明らかに抑制した.(3)外側視床下部に慢性電極を植込んだラットの脳内自己刺激行動(self-stimulation behavior)のうち,低電流通電によるlow rate responseはtriazolam 2mg/kg,p.o.投与で著明に増加し,その作用は40mg/kg,p.o.の大量でも認められたが,80mg/kg以上の過大量では逆に抑制された.Diazepamも同様に2~10mg/kg,p.o.の用量でlow rate responseの著明な増加をおこし,80mg/kgでは逆にこれを抑制した.この作用はtriazolamのそれとほぼ同程度である.高電流通電によるhigh rate responseはtriazolamの160mg/kgの大量ではじめて抑制され,この作用もdiazepamとほぼ同程度であった.(4)Skinner boxにおけるミルク取りのレバー押し反応に床電撃を組合わせて設定したラットのconflict実験において,triazolamは1mg/kg,p.o.の投与で罰期における反応を増加させ,この作用は用量増加に伴って一層著明となった.Dlazepamは15mg/kg, p.o.以上の投与で安全期における反応を抑制し,罰期における反応の増加をおこした.以上ラットの条件行動に対するtriazolamの作用は,質的にはziazepamに類似するが,特に抗confict作用がdiazepamより約10倍強力である点が特徴である.

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