日本薬理学雑誌
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HexobendineのAdenosine代謝ならびに心筋代謝に対する影響
岩田 平太郎益川 徹角野 勝彦山本 格
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1978 年 74 巻 7 号 p. 833-840

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抄録

冠血管拡張薬として用いられているtrimethoxybenzoic acid誘導体であるhexobendine(N, N´-dimethyl-N, N´-bis[3-(3´, 4´, 5´-trimethoxybcnzoxy)-propyl]ethylenediamine-dihydrochloride)の作用機作を知る目的で,二三の酵素活性,adenosineの赤血球への取込み,ならびに低酸素負荷による心筋エネルギー代謝の変動に対する作用を検討した.Hexobendineはin vitroでadenosineの分解酵素であるadenosine deaminase活性ならびにプリン代謝系のサルベージ酵素であるadenine-phosphoribosyitransferase(A-PRTase)およびhypoxanthine-guanine-phosphoribosyltransferase(HG-PRTase)活性のいずれに対しても全く無影響であった.ラット赤血球へのadenosineの取込みに対し,本化合物は10-6Mで約45%,10-5Mでadenosineの取込みをほぼ完全に抑制した.Hexobendine 10mg/kgの前処置により低酸素負荷のラット心筋の各代謝産物の変化は有意に抑制され,100mg/kgでは完全に抑制された.

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