日本薬理学雑誌
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ラットPassive cutaneous anaphylaxis (PCA)の薬理学的研究 ―PCAにおけるHistamine遊離およびCyclic AMP量変動に及ぼす薬物の影響―
東 幸雄
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1980 年 76 巻 8 号 p. 685-696

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抄録

ラット後肢を用いたPCAに対する薬物の作用を通して,アナフィラキシー反応におけるmediator遊離を3種類の抗体を用いて検討し,あわせてアナフィラキシー反応でのmediator遊離とcyclic AMP量の変動との関係についても検討を試みた.3種類の抗体を用いたPCAにおいて,浮腫の形成とhistamine量およびcyclic AMP量の減少との間に相関関係がみられ,抗体の違いによる差は認められなかった.一方,mepyramine,aminopyrine,benzydamine,DCC,trasylolおよびDSCGにおいて,抗体の種類によりPCAに対する作用の違いがみられたが,一定の傾向は認められなかった.tiaramide,epinephrine,isoproterenolおよびtheophyllineにおいて,組織内cyclic AMPレベルの上昇作用とhistamne遊離抑制効果との間に相関関係が認められた.しかし,mepyramineおよびmethysergideでは,histamine遊離は抑制されたが,cyclic AMP量増加作用はみられず,aminopyrineおよびtrasylolでは,cyclic AMP量増加作用がみられたが,histamine遊離抑制は認められなかった.このことから,組織内cyclic AMPレベル上昇とmediator遊離抑制を一元的に説明することには問題のあることが示唆された.

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