日本薬理学雑誌
Online ISSN : 1347-8397
Print ISSN : 0015-5691
ISSN-L : 0015-5691
ラットの条件回避反応に対する cis-N(1-Benzyl-2-methylpyrrolidin-3-yl)-5-chloro-2-methoxy-4-methylaminobenzamide(YM-09151-2)の抑制効果
栗原 久田所 作太郎
著者情報
ジャーナル フリー

1981 年 77 巻 5 号 p. 521-530

詳細
抄録
新合成化合物 cis-N-(1-benzyl-2-methylpyrrolidin-3-yl)-5-chloro-2-methoxy-4-methylaminobenzamide(YM-09151-2)投与時に観察されたラットのシドマン型および弁別型条件回避反応の抑制について検討し,類似の化学構造を有する benzamide 系化合物である YM-08050,YM-08051 および sulpiride,さらに代表的な抗精神病薬である chlorpromazine および haloperidol の効果と比較した.YM-09151-2 の 0.0025~0.01mg/kg 皮下投与あるいは 0.2~1.6mg/kg 経口投与により,投与2~3時間後を最大とする用量依存的な回避反応抑制が観察され,高用量投与時には24時間後においても効果が残存していた.しかし回避反応が著明に抑制されていた時であっても,ラットは強い鎮静を示すわけではなく,飼育ケージ内では通常と変らない摂餌,飲水を行なった.投与直後から2時間における平均被ショック率あるいは平均回避率の変化からみて,皮下投与によってシドマン型および弁別型回避反応は,いずれも YM-09151-2,YM-08050,haloperidol,YM-08051,chlorpromazine および sulpiride の順に強く抑制された.またシドマン型回避反応を介した d-amphetamine 1mg/kg s.c. との拮抗効果も全く同一の順序で強かった,YM-09151-2 皮下投与時の回避反応抑制効果は,chlorpromazine の94~137倍,haloperidol の4~37倍と推定された.一方,経口投与時の回避反応抑制効果はそれぞれの10~20倍および約1倍と概算された.本実験結果から,YM-09151-2 は同じ benzamide 系化合物である sulpiride とは異なり,皮下投与時には現在われわれが知り得る neuroleptic agents のうち最も強力な回避反応抑制効果を示し,その効果出現は速く持続時間も比較的長いと考えられる.
著者関連情報
© 社団法人 日本薬理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top