日本薬理学雑誌
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経皮非ステロイド性鎮痛・抗炎症剤Etofenamate gelの抗浮腫作用
中村 秀雄元吉 悟横山 雄一門河 敏明清水 當尚
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1982 年 80 巻 2 号 p. 169-182

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抄録

etofenamate gel(etofenamateを5%含有)の塗布適用による局所抗炎症作用および経口適用と比較した塗布適用の有用性について検討した.etofenamate gelは,5~50mg/pawの炎症足ヘの単回塗布によりラットcarrageenin後肢足蹠浮腫を用量依存的に抑制し,そのED50値は33.0mg/pawであった.炎症足への塗布で確実な効果を示す塗布量,10mg/pawを非炎症(反対)足に塗布したときに抗浮腫活性は認められなかったが,50mg/pawの大量の塗布では弱い乍ら抗浮腫作用が観察された.経口投与したetofenamateの抗浮腫効力(ED50=8.49mg/kg)はflufenamic acidに匹敵した.kaolin-carrageenin誘発ラット後肢足蹠浮腫に対してetofenamate gelは,1回量10~50mg/pawを3回炎症足ヘ塗布することにより用量依存的な足浮腫の治療効果を示した.しかし,1回量10mg/pawの非炎症足ヘの塗布では有意な治療効果は認められなかった.ラット尾皮内へのadjuvantの注射15~18日後から1日1回7日間etofenamate gel(50mg/paw)を後肢足関節部皮膚に塗布したときに,etofenamate ge1は初回塗布2日目以降有意な関節炎の治療効果を示した.経口投与したetofenamateは4~8mg/kgで有意な関節炎の治療効果を示し,その効力はflufenamic acidの効力にほぼ匹敵した,これらetofenamate gelの抗浮腫効力は,使用した製剤の塗布量で比較したときに,副腎エキス含有軟膏より強く,indomethacin軟膏(indomethacin 1%含有)にほぼ匹敵した.一方,ラットの剪毛背部皮膚にetofenamate gel 6,400mg/kg(約1,000mg/ラット)を単回塗布しても胃および腸潰瘍は形成されなかったが,etofenamateは40mg/kg以上の経口投与で消化管潰瘍を惹起した,以上の結果から,ラットの皮膚に塗布適用したetofenamate gelは局所抗炎症作用を発現し,その効力は経口投与したetofenamateの効力にほぼ匹敵すること,およびその抗浮腫作用の発現用量と消化管潰瘍形成用量との開きは経口投与したetofenamateのそれよりも大きいことが示唆された.

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