平滑筋の興奮性,収縮,イオン動態,生化学的諸性質等に対するMn
2+およびLa
3+の作用について総説した.Mn
2+およびLa
3+は平滑筋細胞の膜電位を変えないで活動電位を抑制する.しかし標本によっては膜を脱分極あるいは過分極させたり,これらのイオンに影響されないslow dischargeの報告もみられる.Mn
2+やLa
3+は自発性収縮,K拘縮を強く抑制するが,これらのイオンの存在下での緩徐な張力の上昇もみられる,一方薬物による収縮は比較的抑えられ難い.Mn
2+はCa influxを抑え,La
3+はCa influx,effluxの両方を抑制する.しかし,La resistant Ca flux,Na-Ca exchange等の報告もある.La
3+はその他のイオンの動態にも影響を与える.生化学的実験では細胞膜分画やミクロソーム分画のCa動態に影響を与えるが,これも組織によって異なる結果が得られている.Mn
2+およびLa
3+を単純にCa blockerとして用いることには慎重であらねばならない.
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