日本薬理学雑誌
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80 巻, 2 号
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  • 砂野 哲
    1982 年 80 巻 2 号 p. 93-104
    発行日: 1982年
    公開日: 2007/03/09
    ジャーナル フリー
    平滑筋の興奮性,収縮,イオン動態,生化学的諸性質等に対するMn2+およびLa3+の作用について総説した.Mn2+およびLa3+は平滑筋細胞の膜電位を変えないで活動電位を抑制する.しかし標本によっては膜を脱分極あるいは過分極させたり,これらのイオンに影響されないslow dischargeの報告もみられる.Mn2+やLa3+は自発性収縮,K拘縮を強く抑制するが,これらのイオンの存在下での緩徐な張力の上昇もみられる,一方薬物による収縮は比較的抑えられ難い.Mn2+はCa influxを抑え,La3+はCa influx,effluxの両方を抑制する.しかし,La resistant Ca flux,Na-Ca exchange等の報告もある.La3+はその他のイオンの動態にも影響を与える.生化学的実験では細胞膜分画やミクロソーム分画のCa動態に影響を与えるが,これも組織によって異なる結果が得られている.Mn2+およびLa3+を単純にCa blockerとして用いることには慎重であらねばならない.
  • 前田 淳子, 坪井 俊紀, 藤谷 武一, 門河 敏明, 清水 當尚
    1982 年 80 巻 2 号 p. 105-111
    発行日: 1982年
    公開日: 2007/03/09
    ジャーナル フリー
    モルモットを1%cholesterol添加食で飼育することにより実験的高脂血症動物モデルを作成し,高脂血症における血小板機能亢進の機作について検討した.cholesterol負荷により,1)血小板中ではcholesterolは増加し,リン脂質は変化しなかった.血漿中では,cholesterolとリン脂質が増加したが,triglycerideと遊離脂肪酸は変化しなかった.2)ADP,collagenおよびarachidonic acidにより誘発される血小板凝集は亢進し,同時に血小板malondialdehydeの生成量が増加した.3)血小板cyclic AMPレベルは変化しなかったが,prostaglandin E1,の添加によるcyclic AMPレベル上昇の程度は,対照群に比べ低かった.4)大動脈より遊離されるprostaglandin I2様物質の量は,負荷開始後1~4カ月では変化がなく,5か月目に増加がみられた.以上のように,cholesterol負荷による実験的高脂血症モルモットにおいて持続的な血小板機能の亢進が認められ,この亢進の機作には血小板prostaglandin生合成の亢進と,血小板adenylate cyclase活性の低下が関与していることが示唆された.
  • 佐野 久, 戸塚 佳男, 古内 武人, 酒井 公三, 越川 憲明, 重原 りゅう子, 小林 雅文
    1982 年 80 巻 2 号 p. 113-124
    発行日: 1982年
    公開日: 2007/03/09
    ジャーナル フリー
    ラットへのreserpine(RE)の連用は,methamphetamine(MAPT)によるstereotyped licking(SL),biting(SB)activityとhypermotility(HM)を著明に促進する.この作用機序をしらべる一助として,MAPT投与前にchlorpromazine(CP)を脳注したラットのSL,SB,HMを観察した.実験方法としては,ラットに生理食塩液(生食液)もしくはRE(1.25mg/kg i.c.)を隔日に13日間投与し,その最終注射23時間後にCP(125μg,250μg,625μgもしくは1mg/rat i.c.)をValzelli法によって脳注し,さらにその1時間後にMAPT(10mg/kg i.p.)を投与し,その後のSL,SB,HMを測定した.その結果,1)脳注されたCPは,35Sのトレーサー実験によって30分後には脳全域に分布していることが確認された.2)生食液連用ラットにMAPTを投与したときは,その大多数にSLとSBが生じた.しかしCPをあらかじめ脳注しておくと,いずれの投与量においてもSL,SBの出現は殆ど抑制された.3)RE連用ラットにMAPTを投与したときは,ほぼ全例にSBが生じ,さらにその大多数にいわゆる“bizarre-biting behaviour”(BSB,自身もしくはcagemateの尾部,前後肢を咬みつづける行動)が認められた.これに対してCPをあらかじめ脳注しておいた群では,その大量投与群(CP625μg/rat i.c.)の場合でもSBは部分的に抑制されたのみであったが,BSBの出現頻度は著明に減少した.4)MAPT投与によるHMは,生食液連用ラットの場合では,CPを併用しても著るしい変化はなかった.これに対してRE連用ラットでは生食液連用ラットを上まわるHMを示したが,CPを併用するとその量が増すにつれて抑制度がたかまった.これらの成績から,CPの脳注はRE連用ラットにおけるMAPTのHMを著明に,SBを部分的に抑制することが明らかとなった.
  • 中村 秀雄, 元吉 悟, 今津 千恵子, 石井 勝美, 横山 雄一, 世戸 康弘, 門河 敏明, 清水 當尚
    1982 年 80 巻 2 号 p. 125-135
    発行日: 1982年
    公開日: 2007/03/09
    ジャーナル フリー
    経皮鎮痛・抗炎症剤の主薬として使用されているetofenamate(flufenamic acidのdiethylene glycol ester)の経口投与による抗炎症,鎮痛および解熱作用を実験動物において検討した.マウス酢酸誘発血管透過性亢進およびモルモット紫外線誘発紅斑形成に対して,etofenamateはそれぞれ40~320mg/kgおよび5~20mg/kgの投与量で用量依存的な抑制作用を示した.ラットにおけるfelt-pellet誘発肉芽腫形成およびadjuvant関節炎に対して,それぞれ20mg/kg/day(5日間)および40mg/kg/day(21日間)の連続投与により有意な抑制作用を示した.ラット硝酸銀誘発関節炎の屈伸により誘発される啼声反応に対してetofenamateは抑制作用を示し,また,マウスおよびラット酢酸誘発writhingに対してそれぞれ50~300mg/kgおよび10~80mg/kgの投与量で用量依存的な抗writhing作用を示した.酵母発熱ラットにおいて,etofenamateは0.2mg/kg以上の投与量で有意な解熱作用を示した.これらのetofenamateの効力はflufenamic acidの0.5~1.6倍であった.特に,etofenamateの抗紫外線紅斑形成作用,抗adjuvant関節炎作用および解熱作用はflufenamic acidに匹敵するかまたはそれより優れた.以上の結果から,etofenamateは,実験動物に経口投与したときに,他の非ステロイド性抗炎症薬と同様に,抗炎症,鎮痛および解熱作用を示すことが示唆された.
  • 嶋本 典夫, 後藤 紀子, 平田 稔
    1982 年 80 巻 2 号 p. 137-145
    発行日: 1982年
    公開日: 2007/03/09
    ジャーナル フリー
    Sprague Dawleyラットの30%赤血球(RBC)懸濁液を用いて,RBCの解糖系に及ぼすCV-2619およびubiquinone-10(Q-10)の影響をNaF存在下および非存在下で検討した.NaFの0.3~10mM存在下,RBCを37°C30分間インクベートした時,RBCのATPおよびlactate含量は,用量依存性に低下した.NaFの1.5mMはATP含量を対照時の約30%に減少させた.その際,phosphofructokinase(PFK)の活性化およびglyceraldehydephosphate dehydrogenase(GAPDH)およびenolaseの抑制が認められ,NaFによるATP減少は,後二者の抑制による解糖系阻害の結果と考えられる.NaF非存在下では,CV-2619(0.3~30μM)およびQ-10(1~100μM)は,ATP含量に影響を与えなかった.NaF 1.5mM存在下,CV-2619は0.3~30μM濃度で,用量依存性にNaFによるATP含量の低下を抑制し,CV-2619,10μM共存下では,ATP含量は対照時の73%であった.CV-2619共存下でもNaFによるenolaseの抑制およびPFKの活性化は認められたが,GAPDHの抑制はCV-2619により解除された.NaF 1.5mM存在下,低下したATP含量はQ-10(1~100,μM)共存で全く影響を受けなかった.以上のことから,正常赤血球の解糖系には,CV-2619およびQ-10いずれも影響を及ぼさないが,NaFにより解糖を阻害した状態ではCV-2619は,GAPDH抑制を解除することにより,解糖の流れを亢進しATP含量を回復させる.一方Q-10にはこのような作用は認められなかった.
  • 川口 充, 堤 璋二
    1982 年 80 巻 2 号 p. 147-154
    発行日: 1982年
    公開日: 2007/03/09
    ジャーナル フリー
    すでに,著者らはAs2O3 3mg/kgの静脈注射によりひき起こされるウサギの体温下降が,視床下部内noradrenaline(NA)量の減少に基づくものであることを報告している.そこで本論文ではAs2O3によって生ずる体温下降においてNAだけでなくdopamine(DA)も関与しているか:否かを調べる為に,dopamine-β-hydroxylase阻害剤のFLA-63,α-receptor遮断薬のphenoxybenzamineとdibenamine,DA-receptor遮断薬のhaloperidolとpimozideを用いて体温測定を行ない検討した.その結果,1)FLA-63 40mg/kg投与により,NAを減少させDAを増加させた状態ではAs2O3 3mg/kgによる体温下降は抑制されなかった.2)phenoxybenzamine 20mg/kg,あるいはdibenamine 20mg/kgの投与によりAs2O3による体温下降は抑制された.3)DA-receptor遮断薬であるhaloperidol 5mg/kgあるいはpimozide 2mg/kg投与ではAs2O3による体温下降は抑制されなかった.これらのことから,ウサギ脳内DAおよびDA-receptorはAs2O3による体温下降に関与していないと考えられる.
  • 阿部 博子, 阪口 真智子, 有地 滋
    1982 年 80 巻 2 号 p. 155-161
    発行日: 1982年
    公開日: 2007/03/09
    ジャーナル フリー
    サイコサポニンの糖質コルチコイドの抗肉芽作用に対する影響を検討した.ラットに綿球を植え込み,4日間サイコサポニンd 0.1mg/kg/day筋肉内投与あるいはdexamethasone0.1mg/kg/day筋肉内投与すると,サイコサポニンd投与群での肉芽重量(乾燥重量)は対照群の肉芽重量より10.42%の減少を示し,dexamethasone投与群では11.46%の減少であった.これらの肉芽形成の抑制力は共に対照群のそれに比べて有意の抗肉芽作用ではないが,サイコサポニンdとdexamethasone併用群では肉芽重量は37.50%の減少を示し,明らかに有意の抗肉芽作用を示した.この抗肉芽作用の力価はサイコサポニンあるいはdexamethasoneをそれぞれ単独に投与した場合の抗肉芽作用を加算した力価より大きく,dexamethasoneとサイコサポニンdの併用によって抗肉芽作用が増強されたものと考えられる.dexamethasoneのみ投与したラットの体重増加率は対照群に比べて有意に減少し,胸腺,副腎の重量も共に有意の減少を示した.しかしサイコサポニン投与ラットでは,胸腺重量の減少は見られたが,副腎重量では有意の減少は認められなかった.dexamethasoneとサィコサポニンdの併用によって,体重増加率はdexamethasone単独投与群よりさらに低下を示し,副腎の重量ではdexamethasone単独投与群より著明な減少を認めた.ラットにdexamethasoneを投与すると,血中コレステロールおよびトリグリセライド値は共に増加する.サイコサポニンdの併用によって,トリグリセライド値はやや減少の傾向を示したが,コレステロール値はむしろより増加の傾向を示した.
  • 竹永 秀幸, 曲渕 徹雄, 玉木 元
    1982 年 80 巻 2 号 p. 163-168
    発行日: 1982年
    公開日: 2007/03/09
    ジャーナル フリー
    モルモット摘出胃前庭部標本を用い,自動運動に対するtrimebutine maleate(TM-906)の作用を検討し,以下の結果を得た.1) TM-906は,規則正しい自動運動の振幅を用量依存的に抑制し,この抑制された収縮は,外液Ca2+濃度の増加によって回復した.phentolamine,propranolol,atropineおよびtetrodotoxin存在下でもTM-906の抑制作用は認められた.2) 不規則な自動運動を示す標本にTM-906を添加すると,その運動は規則正しい律動運動へと移行し,この作用は,atropineおよびtetrodotoxin存在下でも認められた,以上の結果,TM-906は自動運動の振幅を抑制し,不規則な運動を規則的にさせるという二面的作用をもつことが示され,これらの作用はいずれも胃前庭部平滑筋に対する直接作用に基づくものと推測された.
  • 中村 秀雄, 元吉 悟, 横山 雄一, 門河 敏明, 清水 當尚
    1982 年 80 巻 2 号 p. 169-182
    発行日: 1982年
    公開日: 2007/03/09
    ジャーナル フリー
    etofenamate gel(etofenamateを5%含有)の塗布適用による局所抗炎症作用および経口適用と比較した塗布適用の有用性について検討した.etofenamate gelは,5~50mg/pawの炎症足ヘの単回塗布によりラットcarrageenin後肢足蹠浮腫を用量依存的に抑制し,そのED50値は33.0mg/pawであった.炎症足への塗布で確実な効果を示す塗布量,10mg/pawを非炎症(反対)足に塗布したときに抗浮腫活性は認められなかったが,50mg/pawの大量の塗布では弱い乍ら抗浮腫作用が観察された.経口投与したetofenamateの抗浮腫効力(ED50=8.49mg/kg)はflufenamic acidに匹敵した.kaolin-carrageenin誘発ラット後肢足蹠浮腫に対してetofenamate gelは,1回量10~50mg/pawを3回炎症足ヘ塗布することにより用量依存的な足浮腫の治療効果を示した.しかし,1回量10mg/pawの非炎症足ヘの塗布では有意な治療効果は認められなかった.ラット尾皮内へのadjuvantの注射15~18日後から1日1回7日間etofenamate gel(50mg/paw)を後肢足関節部皮膚に塗布したときに,etofenamate ge1は初回塗布2日目以降有意な関節炎の治療効果を示した.経口投与したetofenamateは4~8mg/kgで有意な関節炎の治療効果を示し,その効力はflufenamic acidの効力にほぼ匹敵した,これらetofenamate gelの抗浮腫効力は,使用した製剤の塗布量で比較したときに,副腎エキス含有軟膏より強く,indomethacin軟膏(indomethacin 1%含有)にほぼ匹敵した.一方,ラットの剪毛背部皮膚にetofenamate gel 6,400mg/kg(約1,000mg/ラット)を単回塗布しても胃および腸潰瘍は形成されなかったが,etofenamateは40mg/kg以上の経口投与で消化管潰瘍を惹起した,以上の結果から,ラットの皮膚に塗布適用したetofenamate gelは局所抗炎症作用を発現し,その効力は経口投与したetofenamateの効力にほぼ匹敵すること,およびその抗浮腫作用の発現用量と消化管潰瘍形成用量との開きは経口投与したetofenamateのそれよりも大きいことが示唆された.
  • 中村 秀雄, 横山 雄一, 元吉 悟, 世戸 康弘, 石井 勝美, 今津 千恵子, 門河 敏明, 清水 當尚
    1982 年 80 巻 2 号 p. 183-194
    発行日: 1982年
    公開日: 2007/03/09
    ジャーナル フリー
    etofenamate gel(5%etofenamate含有)の経皮(塗布)適用による抗炎症および鎮痛作用を実験動物において検討した.マウスhistamine誘発血管透過性亢進に対してetofenamate ge1は10~100mg/siteの塗布で用量依存的な抑制作用を示した.モルモット紫外線紅斑法において,etofenamate gelは25~200mg/siteの塗布で用量依存的な紅斑形成抑制作用を示し,そのED50値は26.6mg/siteであった.100mg/siteの大量ではetofenamate gel塗布部位近傍の紅斑形成も抑制されたが,遠隔部位の紅斑形成は抑制されなかった.ラットfelt-pellet肉芽腫形成に対して,etofenamate gelは10~100mg/site/dayの連続塗布で用量依存的な抗肉芽腫形成作用を示した.このとき,100mg/site/dayの大量では非塗布部位の肉芽腫形成も抑制されたが,50mg/site/day以下の塗布では有意な抑制は認められなかった.一方,ラット硝酸銀誘発関節炎の他動痛に対して,etofenamate gelは50~200mg/jointの塗布で弱いが用量依存的な抑制作用を示し,また,ラットkaolin-carrageenin足浮腫の圧刺激痛に対しては100mg/pawの塗布で抑制作用を示した.しかし,マウスphenylquinone writhing法では,背部皮膚への100mg/siteの塗布で抗writhing作用は認められなかった.以上の試験においてetofenamate gelの基剤には有意な活性が認められなかった.これらのetofenamate gelの効力は,製剤として比較するとき,indomethacin軟膏(1%indomethacin含有)にほぼ匹敵し,副腎エキス含有軟膏よりも優れることが示唆され,特に,抗紫外線紅斑作用がindomethacin軟膏よりも優れることが示唆された.また,etofenamateは0.5~2mg/earの塗布でマウスoxazolone誘発耳介浮腫を用量依存的に抑制し,その効力はindomethacinの約1/4であった.以上の結果から,etofenamate gelは,塗布適用により実験動物における急性および亜急性・慢性炎症ならびに炎症性疼痛様反応に対して確かな抑制作用を有することが示唆された.
  • 鈴木 勉, 嶋田 光哉, 吉井 利郎, 秋葉 勇, 柳浦 才三
    1982 年 80 巻 2 号 p. 195-202
    発行日: 1982年
    公開日: 2007/03/09
    ジャーナル フリー
    薬物混入飼料法を用い,morphine適用時および休薬時のラットの血漿中corticosterone濃度の変化について検討した.薬物混入飼料中のmorphine濃度を変え,血漿中corticosterone濃度を測定した結果,無処置群に比べ有意な上昇を示し,これはmorphine混入濃度に依存した.morphine混入飼料を1週間適用し,そのままmorphine混入飼料の適用を続ける群(依存群)と,普通飼料に置き換える群(休薬群)の血漿中corticosterone濃度の変化を6時間ごとに24時間まで測定した結果,依存群は無処置群に比べ同一あるいはわずかに高い値を示した.休薬群は,休薬12時間後から無処置群に比べ有意な上昇を示し,24時間後には依存群に対しても有意な上昇が認められた.また,morphine依存ラットにnaloxoneを適用したときにも,血漿中corticosterone濃度の有意な上昇が認められた.morphine混入飼料の処置期間を変え,依存群と休薬群の24時間後の血漿中corticosterone濃度を測定した結果,依存群では1,2週間処置で上昇傾向,3,4週間処置で有意な上昇を示した.このように,4週間処置した依存群のラットにおいても血漿申corticosterone濃度の上昇が観察されたことから,少なくとも4週間まではmorphineの血漿中corticosterone濃度上昇作用に対する耐性は獲得されないものと考えられる.休薬群においては,morphine混入飼料を3日間処置した後の休薬でも血漿中corticosterone濃度の有意な上昇が認められ,1~4週間いずれの処置後の休薬でも同様に有意な上昇を示した.結論として,morphine混入飼料を適用したラットでは,適用前の血漿中corticosterone濃度の日内動変をほとんど乱すことなく,依存状態が獲得される.さらに,このような現象が,少なくとも4週間までは血漿中corticosterone濃度上昇作用に対する耐性が形成されないことに関与しているものと考えられる.
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