日本薬理学雑誌
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熱浮腫ラットに対するMeliotus extractの抑制効果
西川 正雄山下 昭安藤 和子光広 茂夫
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1983 年 81 巻 3 号 p. 193-209

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抄録

ラットの後肢に実験的に熱浮腫を起こし,coumarinを主成分とするmelilotus extract(ME)およびEsberiven®(ES)の投与効果を定性的ならびに定量的に検索した.MEを熱傷後腹腔内へ投与すると熱浮腫が高度に軽減され,皮膚の壊死および硬化の進展が阻止され,ほとんどの例において熱傷童度の症状がみられた.それに対し,生理食塩水投与の対照群では高度の熱浮腫がみられ,ほとんど全例において熱傷皿度の症状が認められた.ESの投与によっても,同程度の抑制効果が認められた.熱傷4時間前に,MEを腹腔内にあるいは熱傷予定部位の皮下に投与した場合,いずれも著しい熱浮腫抑制効果が認められ,組織学的にも確認された.MEは熱浮腫ラットの胸管リンパ流に対し,その単位時間当りの流量,リンパ球排導数および蛋白量のいずれにも抑制的に作用した.MEを正常ラットに皮下注射し,注射部位を組織学的に検索したところ,6~24時間後には好中球およびマクロファージ,24時間後にはマクロファージ,線維芽細胞およびリンパ球の著しい集積が観察された.以上のことから,MEは熱浮腫に対し予防ならびに治療効果を示し,その作用はリンパ管系を介して浮腫液や蛋白を排除するのではなく,局所に集積させた食細胞群の蛋白分解作用を介する間接的な作用によるものと示唆された.

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