日本薬理学雑誌
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81 巻 , 3 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 河野 康子
    1983 年 81 巻 3 号 p. 175-192
    発行日: 1983年
    公開日: 2007/03/07
    ジャーナル フリー
    本論文は実験動物やヒトの脳におけるnoradrenaline(NA)の代謝,およびラット脳内でのNA代謝回転と3,4-dihydroxyphenylethyleneglycol sulfateや3-methoxy-4-hydroxyphenyledlyleneglycol sulfate(MHPG-SO4)含量との関係について総説した.さらに,著者らが考案したラット脳内のNAとMHPG-SO4を同時測定する操作を述べた.この螢光測定法は小量の脳試料に含まれるNAとMHPG-SO4を測定するのに充分な感度,正確さ,速さを有しており,ラットの脳部位でNA代謝や代謝回転を検討するのに有用である.NAとMHPG-SO4の部位に於る含量,日内変動,出生から15月齢までの発達過程などを呈示するとともに,各種の急性および慢性ストレス刺激に由来する脳部位NA代謝回転の変化や脳内活性物質との相互作用に基づくNA代謝回転の変化について解説した.以上の当教室の実験成績に基づいて,脳内各部位のNA代謝回転の特性とその変化の機能的意味について考察した.
  • 西川 正雄, 山下 昭, 安藤 和子, 光広 茂夫
    1983 年 81 巻 3 号 p. 193-209
    発行日: 1983年
    公開日: 2007/03/07
    ジャーナル フリー
    ラットの後肢に実験的に熱浮腫を起こし,coumarinを主成分とするmelilotus extract(ME)およびEsberiven®(ES)の投与効果を定性的ならびに定量的に検索した.MEを熱傷後腹腔内へ投与すると熱浮腫が高度に軽減され,皮膚の壊死および硬化の進展が阻止され,ほとんどの例において熱傷童度の症状がみられた.それに対し,生理食塩水投与の対照群では高度の熱浮腫がみられ,ほとんど全例において熱傷皿度の症状が認められた.ESの投与によっても,同程度の抑制効果が認められた.熱傷4時間前に,MEを腹腔内にあるいは熱傷予定部位の皮下に投与した場合,いずれも著しい熱浮腫抑制効果が認められ,組織学的にも確認された.MEは熱浮腫ラットの胸管リンパ流に対し,その単位時間当りの流量,リンパ球排導数および蛋白量のいずれにも抑制的に作用した.MEを正常ラットに皮下注射し,注射部位を組織学的に検索したところ,6~24時間後には好中球およびマクロファージ,24時間後にはマクロファージ,線維芽細胞およびリンパ球の著しい集積が観察された.以上のことから,MEは熱浮腫に対し予防ならびに治療効果を示し,その作用はリンパ管系を介して浮腫液や蛋白を排除するのではなく,局所に集積させた食細胞群の蛋白分解作用を介する間接的な作用によるものと示唆された.
  • 鈴木 和男, 仁保 健, 山田 秀彦, 山口 和夫, 大西 治夫
    1983 年 81 巻 3 号 p. 211-216
    発行日: 1983年
    公開日: 2007/03/07
    ジャーナル フリー
    bromelainのウサギ痰粘稠度に及ぼす影響を,in vitroおよびin vivoにおいて検討した.in vitroにおいてbromelainは,serratiopeptidase,pronaseおよびpancreatinの合剤,ならびにlysozymeと同様に,低粘度痰の粘度を低下させ,bromelainの作用は最も強かった.bromhexineによっては,このような効果は認められなかった.また,高粘度痰に対しても,bromelainは濃度依存的な強力な粘度および降伏値の低下作用を示し,その効力はserratiopeptidaseのそれより強力であった,ウサギにbromelain 320,000 U/headあるいはserratiopeptidase 120,000 U/headを経口投与することにより痰の粘度は有意に低下し,降伏値も低下した.降伏値の低下はbromelainがより強力であった.また,bromelainの投与により,疾量の増加が認められた.さらに,bromelainおよびserratiopeptidase投与により,疾中の酸性糖蛋白およびsialic acid含量の減少傾向がみられた.これらの結果は,bromelainの臨床における喀痰排泄促進薬としての有効性を支持するものと考えられる.
  • 秋葉 勇, 鈴木 勉, 柳浦 才三, 遠藤 仁, 酒井 文徳
    1983 年 81 巻 3 号 p. 217-225
    発行日: 1983年
    公開日: 2007/03/07
    ジャーナル フリー
    morphine連続適用による雄性ラット尿中低分子蛋白(LMWP)の排泄減少の機構について内分泌系との関連性を検討した.尿中LMWP排泄は,睾丸摘出後に約50%排泄が減少し,testosterone投与により排泄の回復が認められた.また,副腎摘出によって尿中LMWP排泄は変化を受けなかったが,これにcorticosteroneを投与すると著明なLMWP排泄増加が観察された.morphine(0.5mg/g food)連続適用後7日目の尿中LMWP排泄が著明に減少している状態において,血清申testosteroneおよびcorticosterone濃度はそれぞれ対照群に比較し増加傾向を示していた.さらに,睾丸摘出および副腎摘出後にmorphineを連続適用した時,無処置群にmorphineを適用した場合と同率の尿中LMWP排泄減少が観察された.一方,血清中thyroxine濃度はmorphine適用後7日目に対照群に比較して有意に減少していた.morphine連続適用後にthyroxineを投与した結果,尿中LMWP排泄減少に対するthyroxineの用量依存的な回復作用が観察された.以上の結果より,生理的状態においては尿中LMWP排泄にtestosteroneおよびcorticosteroneが関与し,testosteroneの方がcorticosteroneよりもLMWP排泄に及ぼす影響の特異性は高いと考えられた.しかし,morphine連続適用後のLMWP排泄減少の機構に,testosteroneおよびcorticosteroneを介する作用は考え難く,thyroxineが関与する可能性が示唆された.
  • 鈴木 勉, 吉井 利郎, 柳浦 才三, 河合 貞子
    1983 年 81 巻 3 号 p. 227-234
    発行日: 1983年
    公開日: 2007/03/07
    ジャーナル フリー
    薬物混入飼料(DAF)法によりmorphineを適用したマウスに,morphineの反復投与を行って,morphineの適用条件とmorphineの反復投与による自発運動促進作用変化について検討した.実験にはICR系マウスを用い,自発運動の測定はtilting法により行った.普通飼料を与えたマウスでは,morphine 10mg/kgを3~4日に1度の割合で反復皮下投与すると,自発運動促進作用の増強すなわち逆耐性現象が観察された.これに対して,morphine混入飼料1mg/g foodを適用した条件で,同様にmorphineを反復皮下投与しても,自発運動促進作用の増強は観察されなかった.したがって,DAF法による適用のように,少量であっても常にmorphineに動物が暴露されている適用条件では,この自発運動促進作用の増強(逆耐性)は生じないものと考えられる.さらに,morphine混入飼料を1~3mg/g foodに漸増適用する条件では同様にmorphineの反復投与を行っても自発運動促進作用の増強はみられず,むしろ自発運動促進作用の抑制が観察された.また,morphine混入飼料を漸増適用したマウスにmorphineを単回皮下投与した場合においても,同様に自発運動促進作用の抑制が観察された.このmorphine混入飼料の漸増適用は,マウスに強い身体依存を形成する適用方法である.一般に,morphineの中枢抑制作用には耐性が生ずるが,中枢興奮作用に対しては耐性が起こらず,逆耐性が生じると報告されている.したがって,DAF法によるmorphineの漸増適用のように,morphineをマウスに連続的に適用し,身体依存を形成させるような適用条件下では,morphineの中枢興奮作用である自発運動促進作用にも,耐性が生じることが示唆された.
  • 大西 治夫, 小雀 浩司, 芦田 義和, 加藤 克明, 鈴木 泰雄, 本庄 一夫
    1983 年 81 巻 3 号 p. 235-244
    発行日: 1983年
    公開日: 2007/03/07
    ジャーナル フリー
    ヒト尿中trypsin inhibitor(MTI)の膵炎治療剤としての有用性を検討した.MTIはtrypsin,α-chymotrypsinなどの蛋白分解酵素だけでなく,lipase,creatine phosphokinaseなどの膵炎との関連が指摘されている酵素を広範囲に阻害し,trypsinにより膵から遊離する蛋白分解酵素に対しても,gabexate mesilate(gabexate)やaprotininより強い阻害作用を示した.また,MTIはイヌおよびラットtrypsin膵炎に対してもgabexateおよびaprotininより強い治療効果を示した.以上より,MTIは,単にtrypsinを阻害するだけでなく,trypsi夏により膵から遊離する組織障害性酵素をも阻害することにより膵炎の発症および進展を多面的に抑制するものと思われた.
  • 大森 健守, 石井 秀衛, 周藤 勝一, 中溝 喜博
    1983 年 81 巻 3 号 p. 245-266
    発行日: 1983年
    公開日: 2007/03/07
    ジャーナル フリー
    抗アレルギー薬oxatomideの中枢および末梢神経系に対する薬理作用を検討し,以下の結果を得た.1)マウス,ラットにoxatomideを経口投与した場合,100mg/kg以下では行動に著変は認められなかったが,300mg/kg以上の投与量では投与初期に軽度の鎮静が,投与3時間以後に外的刺激に対する反応性の亢進が観察きれた.対照薬のdiphehydramineは低用量(10~30mg/kg)で鎮静,筋緊張度の低下,散瞳を来たし,高用量(100mg/kg以上)では著しい中枢興奮症状を発現した.2)マウスのpentetrazol痙攣,strychnine痙攣,hexobarbital催眠,oxotremorine振せん,physostigmine,reserpine眼瞼下垂,酢酸writhingおよびラット正常体温に対し,oxatomideの最大量(マウス:1000mg/kg,ラット : 300mg/kg)を経口投一与してもほとんど影響せず,影響した場合でもごく軽微であった.diphenhydramineは低用量から催眠増強,oxotremorine振せん抑制,pkysostigmine致死抑制およびreserpine眼瞼下垂作用を発現した.3)慢性電極植込み家兎を用い,自発脳波,音または中脳網様体刺激脳波覚醒反応,海馬および扁桃核後放電におよぼす影響を検討したが,oxatomideは2mg/kg i.v.で自発脳波の傾眠パターン化を惹起した以外,作用は認められなかった.diphenhydramineは低用量(0.5mg/kg i.v.)から自発脳波を傾眠パターン化するとともに脳波覚醒反応を抑制した.後放電には両薬物とも作用しなかった.ネコ脊髄反射にも両薬物は作用しなかった.4)ラットの条件回避反応には両薬物とも作用しなかった.5)oxatomideは神経筋接合部遮断作用(家兎前脛骨筋標本)および局所麻酔作用(モルモット)を示さなかった.diphenhydramineは低濃度から局所麻酔作用を発現した.以上の成績から,oxatomideは中枢および末梢神経系に対する副作用が比較的少ない抗アレルギー薬であると考えられた.
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