抄録
1H-1,2,4-triazolyl benzophenone誘導体45019LSの一般薬理作用をマウス,ラット,モルモット,ウサギ,ネコおよびイヌを用いて検討した.450191-Sはウサギの体温に対して軽度の下降作用を示しその強度は450191-S>triazolam>nitrazepamの順であった.麻酔ネコの呼吸運動に対する450191-Sの抑制作用は,diazepamおよびtriazolamより有意に弱く,無麻酔イヌでは対照薬と同様に呼吸数と心拍数は増加した。450191-Sは麻酔ネコと無麻酔イヌの血圧および心電図には影響をおよぼさなかった.450191-Sおよび対照薬はモルモットの摘出心臓において冠状血管拡張作用と軽度の心運動抑制作用を示したがその作用強度はdiazepam>nitrazepam>450191-Sの順であった.450191-Sは自律神経系の機能を反映する各種パラメーターに対して影響をおよぼさず,またウサギ摘出回腸の自動運動やモルモット摘出回腸における各種拘縮薬の作用に影響をおよぼさなかった.450191-Sはラット摘出非妊娠・妊娠両子宮の自動運動を僅かに抑制したが,生体位子宮の自動運動に対しては非妊娠子宮においてのみ弱い抑制作用が認められたにすぎない.これらの平滑筋臓器に対する450191-Sの作用はすべてdiazepamやnitrazepamよりも弱かった.450191-S 25mg/kg以下の投与では食塩負荷ラットの尿量と電解質の尿中排泄に影響をおよぼさなかった.450191-Sはラットとマウス脳のNE,DA,5HT含量に影響をおよぼさなかったが,ラットではNE代謝回転を,マウスではNEおよびDA代謝回転を抑制した.これらの作用はnitrazcpamより弱かった.各薬物の大量投与時のみnitrazepam>diazepam>estazolam>450191-Sの順位で,鎮痛作用が認められた.ウサギ眼粘膜に対する450191-Sの一次刺激性はminimally irritatingでnitrazepamやestazolamよりわずかに強かったが,胃腸粘膜に対する刺激性は認められなかった.以上の試験項目において450191-Sの作用強度は,その血中活性代謝物M-1,M-2またはM-3のそれよりも弱く,特に麻酔ネコの呼吸運動に対する抑制作用は450191-Sが明らかに弱かった.