日本薬理学雑誌
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ラット肥満細胞リン酸化反応に関する研究(第6報)
―顆粒膜Cyclic AMP依存性タンパクリン酸化反応―
黒沢 元博
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1985 年 86 巻 2 号 p. 87-92

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抄録
ラット肥満細胞を細胞破さい装置により破さいした後Percoll比重法により顆粒を分離した.膜を欠き膨満した形態を示すいわゆる破損顆粒を,Mg2+の存在下に外因性protein kinaseおよびタンパク基質を加えることなく[γ32P]ATPと反応させ,SDS/PAG電気泳動を行うと,分子量44,000のポリペプチドがリン酸化した.この反応はATP,Mg2+に依存し,1 mM Mg2+で最大の反応がみられた.反応は急速で,至適反応温度は30°C であった.0.05~0.5 μM cyclic AMPは本タンパクリン酸化反応を刺激し,0.45mM CaCl2は抑制的に作用した.phosphatidylserineおよびphorbol ester TPAは影響しなかった.分子量44,000のポリペプチドはアイソエレクトリックポイント6.6~7.6で数個の成分より構成されていた.以上より,肥満細胞顆粒にはいわゆる内因性cyclic AMP依存性タンパクリン酸化能が存在することが明らかになった.
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