日本薬理学雑誌
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2腎性高血圧ラットおよび自然発症高血圧ラットに対する(2R,4R)-2-(o-Hydroxyphenyl)-3-(3-mercaptopropionyl)-4-thiazolidinecarboxylic acid(SA446)の長期経口投与による抗高血圧作用,並びにHydralazineとの併用効果
中田 勝彦西村 和夫高田 豊和山内 秀泰磯 正
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1986 年 87 巻 2 号 p. 113-121

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抄録

angiotensin変換酵素(ACE)阻害薬である(2R,4R)-2-(ohydroxyphenyl)-3-(3-mercaptopropionyl)-4-thiazolidinecarboxyli cacid(SA446)の長期経口投与による抗高血圧作用を,2腎性Goldblatt型高血圧ラット(RHR)および自然発症高血圧ラット(SHR)において検討すると共に,血管拡張薬であるhydralazineとの併用効果についても検討を加えた.RHRに対してSA446(30 mg/kg/day, p.o.)は14週の投与期間を通じて血圧を有意に下降させた.hydralazine(2 mg/kg/day, p.o.)はRHRの血圧にほとんど影響を与えなかったが,併用によってSA446の降圧作用を顕著に増強した.SA446単独あるいはSA446とhydralazineとの併用によって下降した血圧は,投与終了後1~2週間でコントロール群の血圧値まで回復した.尿量および飲水量においては,投与期間中にhydralazine投与群のみに増加傾向が認められたにすぎなかったが,投与終了後ではSA446投与群およびhydralazineとの併用投与群に顕著な増加が認められた.一方,14週の投与終了時においてコントロール群の生存率は64%であったのに対して,hydralaz三ne投与群では30%と生存率の低下が認められたが,SA446投与群およびhydralazineとの併用投与群では死亡例を全く認めなかった.また,高血圧発症前のSHRにSA446(45 mg/kg/day, p.o.)を16週間投与する事により高血圧の発症を有意に予防した.hydralazlne(2 mg/kg/day, p.o.)もSA446と同程度の高血圧発症予防効果を示し,また,SA446との併用効果も認められた.投与終了後1週間でhydralazine投与群の血圧は迅速にコントロール群の血圧値まで回復したが,SA446投与群およびhydralazineとの併用投与群では投与終了後の血圧上昇は緩徐であり,投与終了後3週においてもコントロール群に比して低値を示した.また,SHRの尿量および飲水量は投与期間中および投与終了後も特に変化が認められなかった.以上の成績より,SA446はRHRにおいて長期投与により持続的な抗高血圧作用を示すこと,並びにSHRの高血圧発症を有意に予防する事が認められた.また,これらSA446の作用はhydralazineとの併用により増強される事が明らかになった,

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