日本薬理学雑誌
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87 巻 , 2 号
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  • 吉川 典孝, 瀬山 義幸, 山下 三郎, 赤須 通範, 井上 肇
    1986 年 87 巻 2 号 p. 99-104
    発行日: 1986年
    公開日: 2007/03/02
    ジャーナル フリー
    セファランチン(cepharanthine,以下CR)の下垂体-副腎系に及ぼす作用を検討した.ラットに対しCRを腹腔内投与する事で,血漿ならびに副腎コルチコステロン値が上昇した.又,プロプラノロールを前処理したラットについてCRを同様に処理すると,コルチコステロンの副腎からの分泌が亢進し,同時に血漿ACTH値も上昇した.しかし,CR投与による血漿および副腎コルチコステロン上昇作用は,デキサメタゾン前処理する事で抑制された.又,CRは,百日咳ワクチン前処理ラットにおいても同様に,副腎からのコルチコステロン分泌を亢進させた.さらに,CRは副腎分離細胞からのコルチコステロンの産生には影響しなかった.この事は,CRは副腎へは直接作用がないと思われる.以上から,CRは,下垂体-副腎系を亢進させ,副腎皮質ホルモンの分泌を亢進させる作用が考えられた.
  • 大西 栄子, 山田 俊雄, 山田 和雄, 井上 肇, 瀬山 義幸, 山下 三郎
    1986 年 87 巻 2 号 p. 105-112
    発行日: 1986年
    公開日: 2007/03/02
    ジャーナル フリー
    糖尿病は一般に膵内分泌機能の異常をきたす場合が多い.そこで糖尿病の臨床的検査には,膵内分泌機能を調べるため糖を負荷した時の血糖値の回復をみる糖負荷試験が用いられている.これと類似して糖負荷時に糖尿病と同様の症状を示す実験的糖尿病モデルを作成する事を試みた.すでにストレプトゾトシン(以下STZ)とサイプロヘプタジン(以下CPH)は,膵内分泌機能を障害又は低下させると報告されている.そこで両薬物の膵内分泌機能や膵外分泌機能への影響,さらに他の臓器障害を各種酵素活性を測定し調べた.その結果,STZ高用量投与では,膵内分泌機能障害を示すものとして血糖値の不可逆的上昇,インシュリン分泌の不可逆的減少が見られた.さらにこの系では,膵外分泌機能障害(膵アミラーゼ活性の減少)が著明で,その他の臓器の障害として血中GOT,GPT活性の変化,血中ライソソーム酵素活性の上昇,および肝と膵ライソソーム酵素活性が減少する傾向にあった.又,STZの低用量投与では膵内分泌機能障害はSTZの高用量投与程強くなく,血糖値の上昇も少なかった.さらに,この状態は可逆的でインシュリン分泌の減少も少なかった.又,糖負荷試験では血糖値の上昇がCPH投与ラットより少ない.しかし,この系は膵外分泌機能,その他の臓器障害は上述のSTZの高用量投与と同様に膵内分泌以外の障害が見られ,膵内分泌機能検査のスクリーニングにはなり難い.これに対しCPHでは,STZの様な膵内分泌以外の障害は見られず,糖負荷時においてのみ血糖値の上昇が見られ,その上昇もSTZ低用量投与より対照との差が著しかった.又,CPHは投与中止により糖負荷時の血糖値が対照と同じレベルに回復した.以上からCPHは,膵内分泌機能を可逆的に抑制し,緩和な糖尿病々態として糖負荷試験に適した実験系であると共に,生薬をはじめ作用の緩和な抗糖尿病薬の検索に適した系と考えられる.
  • 中田 勝彦, 西村 和夫, 高田 豊和, 山内 秀泰, 磯 正
    1986 年 87 巻 2 号 p. 113-121
    発行日: 1986年
    公開日: 2007/03/02
    ジャーナル フリー
    angiotensin変換酵素(ACE)阻害薬である(2R,4R)-2-(ohydroxyphenyl)-3-(3-mercaptopropionyl)-4-thiazolidinecarboxyli cacid(SA446)の長期経口投与による抗高血圧作用を,2腎性Goldblatt型高血圧ラット(RHR)および自然発症高血圧ラット(SHR)において検討すると共に,血管拡張薬であるhydralazineとの併用効果についても検討を加えた.RHRに対してSA446(30 mg/kg/day, p.o.)は14週の投与期間を通じて血圧を有意に下降させた.hydralazine(2 mg/kg/day, p.o.)はRHRの血圧にほとんど影響を与えなかったが,併用によってSA446の降圧作用を顕著に増強した.SA446単独あるいはSA446とhydralazineとの併用によって下降した血圧は,投与終了後1~2週間でコントロール群の血圧値まで回復した.尿量および飲水量においては,投与期間中にhydralazine投与群のみに増加傾向が認められたにすぎなかったが,投与終了後ではSA446投与群およびhydralazineとの併用投与群に顕著な増加が認められた.一方,14週の投与終了時においてコントロール群の生存率は64%であったのに対して,hydralaz三ne投与群では30%と生存率の低下が認められたが,SA446投与群およびhydralazineとの併用投与群では死亡例を全く認めなかった.また,高血圧発症前のSHRにSA446(45 mg/kg/day, p.o.)を16週間投与する事により高血圧の発症を有意に予防した.hydralazlne(2 mg/kg/day, p.o.)もSA446と同程度の高血圧発症予防効果を示し,また,SA446との併用効果も認められた.投与終了後1週間でhydralazine投与群の血圧は迅速にコントロール群の血圧値まで回復したが,SA446投与群およびhydralazineとの併用投与群では投与終了後の血圧上昇は緩徐であり,投与終了後3週においてもコントロール群に比して低値を示した.また,SHRの尿量および飲水量は投与期間中および投与終了後も特に変化が認められなかった.以上の成績より,SA446はRHRにおいて長期投与により持続的な抗高血圧作用を示すこと,並びにSHRの高血圧発症を有意に予防する事が認められた.また,これらSA446の作用はhydralazineとの併用により増強される事が明らかになった,
  • 竹内 孝治, 古川 修, 田中 宏典, 西脇 秀幸, 岡部 進
    1986 年 87 巻 2 号 p. 123-133
    発行日: 1986年
    公開日: 2007/03/02
    ジャーナル フリー
    elcatoninのラットの急性胃・十二指腸損傷の発生,胃液分泌,十二指腸alkali分泌,胃運動に対する効果を検討した.elcatoninは以下の実験で全て皮下投与した.elcatonin 30 unit/kgの投与により塩酸・aspirin,塩酸・ethanol胃損傷の発生を各々81.6%,49.7%(P<0.05)抑制した.水浸ストレス,indomethacin胃損傷の発生もelcatoninは用量依存的に抑制し,前者の損傷は30 unit/kgで77.6%,後者の損傷は10 unit/kgで98.7%(P<0.05)抑制された.elcatonin 30 unit/kgの2回投与はmepirizole十二指腸損傷の発生に対して抑制の傾向(32.7%)を示したが,胃損傷の発生は著明に抑制した.indomethacin·histamine十二指腸損傷の発生に対してはelcatonin 30 unit/kgは59.5%(P<0.05)の抑制を示した.胃損傷もまた抑制した.対照薬として使用した16, 16-dimethylprostaglandin E2(16-dmPGE2)は各種胃・十二指腸損傷モデルを3~30 μg/kgの経口投与で強力に抑制した.elcatonin 10および30 unit/kgは幽門結紮ラット(4時間法)での胃液量,酸およびpepsin排出量を有意に抑制した.16-dmPGE2 3,10,30 μg/kgの十二指腸内投与で胃液には影響を与えなかった.elcatonin 30 unit/kgは十二指腸のアルカリ分泌に影響はなかったが,16-dmPGE2 30 μg/kgはアルカリ分泌を亢進した.elcatoninおよび16-dmPGE2は胃運動を2時間有意に抑制した.以上の結果よりelcatoninは抗胃および十二指腸損傷作用を有し,その機序の一部は胃液分泌および胃運動に対する抑制作用に基くことが示された.
  • 祝部 大輔
    1986 年 87 巻 2 号 p. 135-142
    発行日: 1986年
    公開日: 2007/03/02
    ジャーナル フリー
    それぞれの幅20cm,高さ6cm,奥行き15cmの階段を5段に組み立てた,高さ30cm,長さ95cm,幅20cmの木製の装置(staircase)の全面に鏡を内張りし,内側のすべての面が鏡で出来た装置(mirror staircase)を新たに考案し,この装置を用いてラットの不安,探索行動の成分である立ち上り回数と階段を昇る回数を指標とする種々の基礎的検討を行った.staircase test(non-mirror)と比較してmirror staircase testの方が,不安を示唆すると思われる立ち上り回数が多く,しかも個体差が少なくなった.1匹のラットを用いたmirror staircase testと2匹同時に装置内に置いたmirror staircase testおよびnon-mirror staircase testの3者の結果を比べてみると,初めの3分間の立ち上り回数は,1匹のラットを用いたmirror staircase testが最も高い数値を示した.また,mirror staircase testにおけるnitrazepam,phenobarbital,morphineの作用は,non-mirror staircase testの場合と比較して用量―効果の相関には大差がなかった,以上のように,新しく考案したmirror staircase testを用いてラットを新しい環境に置いた時の立ち上り回数および階段を昇る回数を指標とした行動は,本質的にはnon-mirror staircase testの場合とほぼ同様であった.しかし,鏡に写る自分自身の像に対する異常な反応や,鏡の物理的性質による刺激,緊張の持続性により,mirror staircase testの方が不安を示唆すると思われる立ち上り行動がより多く,また反復テストでもnon-mirror staircase testより標準誤差が小さい(個体差が少ない)という点など,抗不安薬の検定法として優れているものと思われる.なお同種の動物より鏡に写る自分自身の豫の方がより強い刺激となっていることは興味深い.
  • 戸部 昭広, 江川 三生, 橋本 紀子, 永井 利枝, 石川 仰子, 山崎 智志, 田中 唯司
    1986 年 87 巻 2 号 p. 143-159
    発行日: 1986年
    公開日: 2007/03/02
    ジャーナル フリー
    4-(o-benzylphenoxy)-N-methylbutylamine hydrochloride(bifemelane hydrochloride, MCI-2016)の一般薬理作用を中枢神経系に対する影響を中心に検討を加えた,MCI-2016 30~100 mg/kg, p.o. を小動物に投与すると軽度なhexobarbital睡眠延長作用(マウス),抗痙攣作用(マウス)ならびにオープンフィールドにおける探索行動の軽度な亢進(ラット)を認めた程度で,それ以外の行動には顕著な作用が発現しなかった.MCI-2016 200~300 mg/kg, p.o. 以上では筋緊張低下(懸垂試験,回転棒試験,マウス),瞳孔散大,自発運動減少傾向などが認められたが,ラットの探索行動,条件回避反応ならびに正常体温に対しては顕著な影響がなかった.なお,ウサギの正常体温に対しても1~5 mg/kg, i.v. の用量では影響がなかった.一方,MCI-2016は5mg/kg, i.v. 以上で急性ネコの自発脳波を軽度に覚醒させ,中脳網様体刺激による脳波覚醒反応をわずかに増強した,慢性電極植込みラットでも,MCI-2016は脳波を軽度に覚醒させたが,睡眠―覚醒周期ならびに逆説睡眠には顕著な影響を与えなかった.なお,MCI-2016は10 mg/kg, i.v. の高用量まで脊髄反射電位および神経筋接合部に対して有意な影響を及ぼさなかった.すなわち,MCI-2016は中枢神経作用として緩和な脳波賦活作用を有するものの,行動全般および運動系に対する影響は軽度なものであると推定された.なおラットの酢酸writhing,carrageenin浮腫およびモルモット角膜反射に対する影響をあわせて検討したところ,MCI-2016は50~100 mg/kg, p.o. で軽度な鎮痛・抗炎症作用,比較的持続する局所麻酔作用などが認められた.
  • 玉尾 嘉邦, 原 啓人, 梅津 浩平, 伊藤 仁堂, 土居 安喜子, 須藤 敦子, 平田 倫子, 峯尾 恭子, 戸部 昭広
    1986 年 87 巻 2 号 p. 161-167
    発行日: 1986年
    公開日: 2007/03/02
    ジャーナル フリー
    MCI-2016(bifemelane hydrochloride)の一般薬理作用を,血液系に対する影響の面から検討した.MCI-2016は血液凝固系(APTT)および線溶系(urokinase活性化血漿塊溶解時間)に対し300 mg/kg, p.o.,あるいは8.6×10-4Mの高用量まで顕著な影響を及ぼさなかった.一方,MCI-2016は溶血作用も弱く,発現には2 mM以上の高濃度を要した.血糖値に対しても有意な影響を示さなかった.血液レオロジー的性質に対する影響をin vitroおよびex vivoで検討したところ,MCI-2016は,100 mg/kg, p.o. 以上,10 μM以上で機械的溶血を阻害し,膜枦過速度に対しても亢進傾向を示した.これらの作用はcinepazide,Ca-hopantenate,meclofenoxate,あるいはpentoxifyllineより明らかに強かった.一方,ウサギおよびヒトの血小板凝集に対しても本剤はIC50 35~60 μMでcollagenの凝集を抑制し,ADP,epinephrineの2次凝集も抑制した.bencyclaneも同様の作用パターンを示したが,他剤では血小板凝集阻害作用は認められなかった.これらの性質は本剤の臨床応用にあたり有用であると考えられた.
  • 竹田 茂文, 前村 俊一, 須藤 和彦, 加瀬 義夫, 新井 一郎, 大倉 靖史, 布野 秀二, 藤井 祐一, 油田 正樹, 細谷 英吉
    1986 年 87 巻 2 号 p. 169-187
    発行日: 1986年
    公開日: 2007/03/02
    ジャーナル フリー
    五味子リグナン成分gomisin Aを経口適用した際の肝障害抑制作用をCCl4,d-galactosamineおよびdl-ethionine誘発実験的肝障害モデルにて調べるとともにその過程で観察されたgomisin Aの肝重量増加現象の発現機序を解明するため,同化合物の肝薬物代謝酵素系に及ぼす作用を中心に検討した.gomisin Aは障害発生機序の異なる3種の肝障害において程度に差はあるものの血清生化学的にはトランスアミナーゼの漏出を,組織学的には肝細胞の変性・壊死,それに伴う炎症性反応ならびに脂肪沈着の出現を非特異的に抑制した.また各肝障害物質投与による肝重量の増加はgomisin Aの併用によりさらに助長された.正常動物においてもgomisin Aは30ないし100 mg/kgの4日間経口投与により肝重量を有意に増加した.この際のgomisin Aの血清生化学値,肝脂質,肝薬物代謝酵素系,肝蛋白合成能ならびにhexobarbital睡眠に及ぼす作用態度はphenobarbitalのそれとよく類似していた.すなわち,gomisin A投与により生化学的には血清中性脂肪の著しい低下および肝脂質の減少が,肝薬物代謝酵素系に対してはmicrosome画分のcytochrome b5およびP-450含量の増加とともにNADPH cytochrome C reductase活性,aminopyrine N-demethylase活性および7-ethoxycoumarin O-deethylase活性の亢進やcytochrome P-450あたりの3,4-benzo(a)pyrene hydroxylase活性の減少などが,さらに肝蛋白画分への14C-phenylalanineの取り込み促進ならびにhexobarbitalによる睡眠時間の短縮が認められた.しかし,CCl4致死毒性に対してはphenobarbitalは増悪,gomisin Aは抑制傾向と両者の間に著明な差がみられた.以上の結果から,gomisin Aは経口適用でも肝障害に対して改善作用を示すことが確かめられるとともに同化合物は脂質低下作用ならびに肝蛋白合成促進作用を有しており,その肝重量増加作用は肝実質障害を伴わない薬物代謝機能の亢進に基づく現象と考えられる.
  • 白倉 良美
    1986 年 87 巻 2 号 p. 189-197
    発行日: 1986年
    公開日: 2007/03/02
    ジャーナル フリー
    ラットにおけるhaloperidol誘発カタレプシーの寛解時に多量の排尿現象を認めたので,haloperidolの利尿作用の詳細および各種遮断薬の影響につき,無麻酔ラットを用いて検討した.1) haloperidol 1および10 mg/kg 1回腹腔内投与4時間以降の尿量は,対照群に比し有意な増加を示した.0.1 mg/kg haloperidol投与群は,2時間まで尿量の増加傾向を示した.2) chlorpromazine 5 mg/kg投与群の尿量は,対照群に比し投与後2時間以降から軽度の増加を示したが,spiperone 5 mg/kgおよびpimozide 1 mg/kgでは有意な差はみられなかった.3) phenoxybenzamine 10 mg/kg,prazosin 0.5 mg/kg,yohimbine 1 mg/kg前処置後は,haloperidol 1 mg/kg単独投与時に認められた尿量増加が消失した.これらα-レセプター遮断薬単独投与は,尿量に影響を与えなかった.4) clonidine 0.125,0.5,1 mg/kg投与後,各群とも30分から著明に尿量が増加した.3) の実験と同用量のphenoxybenzamine,prazosin,yohimbine前処置後は,clonidine 0.125 mg/kg単独投与時に認められた尿量増加が著明に抑制された.5) 週1回,1あるいは10 mg/kgのhaloperidol 4回反復投与では,利尿効果に有意な変化はみられなかった.6) haloperidol投与後24時間までの飲水量,食餌摂取量は減少したが,24~48時間で対照群のレベルまで回復した.7) 5時間尿中Na,K排泄量は,対照群とhaloperidol 1 mg/kg投与群間には差がみられなかったが,clonidine 0.125 mg/kg投与群では著明に増加した.3時間尿の浸透圧は,両薬物投与群で著明に低下した.両群と対照群間の血漿浸透圧,自由水再吸収に差はみられなかった.以上,ラットにおいてhaloperidolは用量依存的に利尿作用を示し,1回投与時の作用持続は24時間以内に消失することが明らかとなった.また,haloperidolの利尿作用は,中枢性α-アドレナリンレセプターを介して発現する可能性が示唆された.
  • 村松 郁延, 藤原 元始
    1986 年 87 巻 2 号 p. 199-207
    発行日: 1986年
    公開日: 2007/03/02
    ジャーナル フリー
    新規冠血管拡張薬nicorandilの血管弛緩作用を摘出ラット胸部大動脈を用いて検討し,nitroglycerin,Caアンタゴニストと比較した.nicorandilは,norepinephrineで収縮した大動脈標本を強く弛緩し,そのEC50値は2.2×10-6Mであった.nicorandilのこの弛緩反応は,10-5M以上の濃度では一過性で,自動運動を伴って回復した.しかし,Caアンタゴニストの前処置により自動運動は消失し,持続性の弛緩反応となった,10-4M nicorandilは,Caアンタゴニストの有無にかかわらず,30分以上続く弛緩反応を惹起した.nicorandilの弛緩作用機序として,10-5M以下の濃度では,受容体依存性Caチャンネルおよび細胞内遊離Ca2+を介する収縮反応に対する抑制作用が考えられ,より高濃度では,膜電位依存性CaチャンネルとCaスパイクに対する抑制作用も関与していることが示唆された.nitroglycerinは,nicorandil低濃度と類似の弛緩作用機序を示した.しかし,nitroglycerinは,nicorandilと異なり,連続適用で耐性を発現した.一方,Caアンタゴニストは,膜電位依存性Caチャンネルを介する収縮を選択的に抑制し,細胞内遊離Ca2+に依存した収縮には無影響であった.以上の結果より,nicorandilは,nitroglycerinとCaアンタゴニストの作用を一部合わせ持った,比較的持続型の血管拡張薬であることが明らかとなった.また,nicorandilはnitroglycerinとの間に交叉耐性を示さないこと,Caアンタゴニストとの併用により血管弛緩作用は著しく延長することなど,他の冠血管拡張薬との併用効果が期待される薬剤と思われた.
  • 山村 道夫, 前田 賀代子, 中川 博之, 石田 柳一
    1986 年 87 巻 2 号 p. 209-221
    発行日: 1986年
    公開日: 2007/03/02
    ジャーナル フリー
    一般症状観察においてnicergolineはラットでは1 mg/kg以上の静注,4 mg/kg以上の腹腔内投与および32 mg/kg以上の経口投与によりいずれも軽度の運動抑制,腹臥位姿勢および筋緊張の低下を,またサルでは1 mg/kg以上の腹腔内投与で運動抑制,4 mg/kg以上で眼瞼下垂,16 mg/kg以上で運動失調を惹起した.ラットのDRL反応に対してnicergohneの32および128 mg/kgの経口投与ならびに4 mg/kgの腹腔内投与でオペラント行動効果は抑制的に作用した.CERに対してnicergolineは8,32および128 mg/kgの経口投与ならびに0.25,1および4 mg/kgの腹腔内投与でいずれも警告期の反応数に影響を及ぼさなかった.また,CARに対してnicergolineは128 mg/kgの経口投与ならびに1および4 mg/kgの腹腔内投与で反応数減少および被ショック数の増加傾向を招来した.以上の成績をchlorpromazine,chlordiazepoxide,pentobarbitalおよびmethamphetamineと比較した結果,nicergolineの行動薬理学的特性は抗精神病薬,抗不安薬,催眠薬あるいは中枢興奮薬さらにはLSD-25のいずれとも異なることが示唆された.
  • 成松 明博, 中尾 健一郎, 生駒 英信, 江川 三生, 喜多田 好, 山崎 智志, 梅津 浩平, 三宅 基義, 西村 悦子, 橋本 紀子, ...
    1986 年 87 巻 2 号 p. 223-251
    発行日: 1986年
    公開日: 2007/03/02
    ジャーナル フリー
    MCI-2016(bifemelane hydrochloride)の一般薬理作用を呼吸・循環器系,腎,自律神経系,摘出平滑筋及び消化器系について検討を加えた.MCI-2016は麻酔犬の呼吸,血圧,心拍数ならびに心電図に対し,1 mg/kg, i.v. では殆んど影響を与えず,3 mg/kg, i.v. でも軽度な変化を示した程度であったが, 10 mg/kg, i.v. では呼吸数の顕著な増加,全身血圧の明らかな下降,心拍数の有意な増加あるいは減少ならびに心電図の軽度変化を示した.なお,血圧,心拍数および血流量は高用量で二相性に変化する場合があった.一方,無麻酔犬の血圧,心拍数ならびに心電図に対しては50 mg/kg, p.o. の4週間連投によっても有意な影響はなかった.摘出心臓の心拍数及び心収縮力に対してMCI-2016は10-5 g/mlあるいは30 μg, i.a. 以上で抑制的に作用した.心臓の刺激伝導系に対しては3 mg/kg, i.v. 以下では影響なく,10 mg/kg, i.v. で抑制を示した.MCI-2016は静注あるいは動注により軽度な脳血流(椎骨動脈,内頸動脈,大脳皮質局所)あるいは大腿動脈血流量の増加を示した.冠血流量は高用量で軽度に増加した.なお,MCI-2016は脳酸素代謝率に影響を与えず,心筋酸素消費量を低下させた.腎機能はMCI-2016 10 mg/kg, i.v. あるいは300 mg/kg, p.o. で抑制された.MCI-2016はNEの血圧上昇および瞬膜・輸精管の収縮作用を増強したが,抗コリン作用は極めて弱く,胃腸管運動およびcarbacholによる唾液分泌を軽度亢進させた.摘出平滑筋に関しては,MCI-2016は10-6 g/ml以上でhigh K+による血管収縮を抑制し,10-5Mあるいはそれ以上で各種agonist(ACh,histamine,5-HT,BaCl2)の作用ならびに子宮,腸管運動を非特異的に抑制した.MCI-2016はラットのCCl4肝障害を悪化させず,胆汁分泌にも影響を与えなかったが,ストレス潰瘍および胃酸分泌を抑制する一方で,胃障害(125 mg/kg, p.o. 以上)を発現した.
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