日本薬理学雑誌
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ラットにおけるコラーゲン誘発心電図変化に及ぼすトロンボキサン合成酵素阻害剤CV-4151の改善作用
松村 晴希寺下 善一西川 浩平今井 祥雄
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1986 年 87 巻 4 号 p. 397-404

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抄録

10週齢の雄Sprague-Dawleyラットにペントバルビタール麻酔下でウシ皮膚III型コラーゲン1 mg/kgを静脈内投与し,I,II,およびIII誘導による心電図を1分毎に10分後まで記録した.コラーゲン投与後に顕著な心電図ST-Tあるいは不整脈を認め,中には心停止に至った例があった.トロソボキサン(TX)A2合成酵素阻害剤(E)-7-pheny1-7-(3-pyridy1)-6-heptenoic acid(CV-4151) 10 mg/kgの2時間前経口投与により,コラーゲン誘発心電図変化は著明に改善され,心停止の発生が抑制された.このCV-4151の作用はticlopidine 30 mg/kgの作用よりも優れていた.両化合物とも血小板数に影響を与えなかったが,CV-4151のみがコラーゲン投与につづく血漿TXB2値の上昇を抑制した.これらの所見は,コラーゲン誘発心筋虚血には少なくとも部分的にTXA2が関与し,その改善にCV-4151が有効であることを示唆する.

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