日本薬理学雑誌
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鎮咳薬の作用に及ぼす Naloxone の影響
亀井 淳三細川 友和柳浦 才三福原 武彦
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1986 年 87 巻 6 号 p. 641-648

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抄録

鎮咳薬の咳嗽反射の中枢内統合機構における作用機序解明の一環として,数種鎮咳薬の鎮咳作用に及ぼす naloxone の影響を検討した.雌雄両性の pentobarbital 麻酔ネコを用い,呼吸および咳嗽は呼吸流量計を介して測定し,また咳嗽反射は上喉頭神経の電気刺激により誘発した.morphine lmg/kg の静脈内投与により咳嗽反射は5~60分後まで約90%抑制され,呼吸数は5分後より約40%抑制され,その後徐々に回復した.これらの抑制作用は, naloxone 400μg/kg 前処置により拮抗された.fominoben 5mg/kg 静脈内投与により,咳嗽反射は5分後から約80%抑制され,この抑制は15分後まで有意で30分後には回復し,呼吸数はわずかに増大した.これらの作用は,naloxone 前処置により拮抗された.dextromethorphan 3mg/kg 静脈内投与により咳嗽反射は5分後から約70%抑制され,この抑制は15分後まで有意で45分後には完全に回復した.呼吸数は5~15分後にかけて増大傾向がみられた.これらの作用は,naloxone 前処置により拮抗された.これらの結果より,fominoben および dextromethorphan は,opiatereceptor を介して鎮咳効果を示す可能性が考えられる.

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