日本薬理学雑誌
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87 巻 , 6 号
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  • 錦辺 優, 塩谷 昌子, 中島 彰, 名倉 純
    1986 年 87 巻 6 号 p. 609-618
    発行日: 1986年
    公開日: 2007/03/02
    ジャーナル フリー
    dl-α-tocopherol 5-n-butyl-2-pyridinecarboxylate(TF-80)の正常血圧動物及び実験的高血圧モデルの血圧に及ぼす影響について検討した.TF-80(10,50および100mg/kg,p.o.)はWistarラットの血圧に何ら影響を示さず,自然発症高血圧ラット(SHR)およびDOCA-salt高血圧ラットの血圧を50mg/kg,p.o.以上の単回投与で著明に下降した.しかし,この時心拍数には影響を与えなかった.このTF-80の最大降圧率は等モルの fusaric acid(FA) と同程度であったが,降圧パターンは異なり,持続性においてFAより優れていた.また,TF-80は低用量(1~100mg/kg,p.o.)の連続投与により,SHRおよび DOCA-salt高血圧ラットの高血圧発症を著明に遅延させた.この作用はFA(5mg/kg,p.o.)連続投与では見られなかった.TF-80はSHRにおいて,norepinephrine(NE),Prostag1andin F(PGF),angiotensin II(Ang II)との拮抗作用及び血漿レニン活性阻害作用はなく,更にはSHRおよびWistarラットでの利尿作用や尿中電解質(Na+,K+,Cl-)排泄促進作用も認められなかった.以上,TF-80の降圧作用機序は明らかではないが,FAとは異なった抗高血圧作用を発現する可能性が示唆された.
  • 鍋島 俊隆, 山田 重行, 亀山 勉
    1986 年 87 巻 6 号 p. 619-627
    発行日: 1986年
    公開日: 2007/03/02
    ジャーナル フリー
    eptazocineを連続投与した時に,その薬理作用に耐性が形成されるかどうかを,pentazocine,morPhineと比較した.合わせて,これら薬物とeptazocineの間に交叉耐性が形成されるか否かも検討した.マウスを使った実験では,eptazocineを連続投与しても酢酸writhing法および圧刺激法におけるその抗侵害作用ならびに回転籠法におけるその回転行動抑制作用には全く耐性は形成されなかった.またpentazocineおよびmorphineとの問にも交叉耐性は形成されなかった.pentazocine(回転籠法)およびmorphine(酢酸writhing法,圧刺激法)の連続投与ではそれぞれにおいて耐性が形成され,両者の間に交叉耐性も形成された(圧刺激法).一方,ラットのtail-flick法では,eptazocineの連続投与で,morphineと同様に耐性が形成されたが,morphineとの間に交叉耐性は形成されなかった.以上の結果から,eptazocineの耐性形成能には種差があり,マウスでは用いたスケジュールでは耐性が全く形成されず,しかもpentazocineおよびmorphineとの交叉耐性は,マウスおよびラットともに全く形成されないので,eptazocineはこれら薬物と耐性発現の機構が異なっていることが示唆された.
  • 会田 陽子, 金子 洋子, 笠間 俊男
    1986 年 87 巻 6 号 p. 629-639
    発行日: 1986年
    公開日: 2007/03/02
    ジャーナル フリー
    ウサギの膀胱体部,膀胱底部,頸部および尿道の各部位の摘出標本を用いて,ACh,NE,oxybutynin および papaverine の影響を検討した結果,ACh は膀胱体部を強く収縮したが,頸部および尿道では全く作用を示さず,NE は頸部と尿道で強い収縮を示し,膀胱体部では弛緩を示した.oxybutynin および papaverine は各部位の標本においてほとんど作用を示さなかった.次に,ウサギ,モルモットおよびラットの摘出回腸,膀胱並びに尿道を用いて,各種収縮薬の収縮反応に対する oxybutynin の作用を atropine,papaverine,flavoxate およびその他の薬物と比較検討を行った.標本の ACh 感受性については,各動物とも膀胱より回腸の方が約100倍感受性が高かった.oxybutynin は膀胱および回腸ともに ACh 収縮に対して競合的な拮抗作用を示し,その抗 choline 作用は atropine の1/7~1/10を示した.oxybutynin 1~100mg/kg/day を60日間連続経口投与したラットの摘出回腸では,雄の100mg/kg/day 群で ACh の感受性がやや低下したが,oxybutynin の抗 choline 作用には有意な変化は示されなかった.また,oxybutynin はモルモット回腸を用いての Ba2+,Ca2+ および histamine の収縮に対して,並びにウサギ膀胱を用いての Ba2+,high-K+,Ca2+ および ATP の収縮に対して非競合的拮抗作用を示し,papaverine および flavoxate と同等かやや強い効力が認められた.しかし,oxybutynin はウサギ尿道を用いての NE による収縮に対しては,ほとんど作用を示さなかった.以上から,oxybutynin は atropine 様の抗 choline 作用を持ち,各種収縮薬対して非競合的拮抗作用を示したことから,筋直接的な弛緩作用を持つと考えられる.
  • 亀井 淳三, 細川 友和, 柳浦 才三, 福原 武彦
    1986 年 87 巻 6 号 p. 641-648
    発行日: 1986年
    公開日: 2007/03/02
    ジャーナル フリー
    鎮咳薬の咳嗽反射の中枢内統合機構における作用機序解明の一環として,数種鎮咳薬の鎮咳作用に及ぼす naloxone の影響を検討した.雌雄両性の pentobarbital 麻酔ネコを用い,呼吸および咳嗽は呼吸流量計を介して測定し,また咳嗽反射は上喉頭神経の電気刺激により誘発した.morphine lmg/kg の静脈内投与により咳嗽反射は5~60分後まで約90%抑制され,呼吸数は5分後より約40%抑制され,その後徐々に回復した.これらの抑制作用は, naloxone 400μg/kg 前処置により拮抗された.fominoben 5mg/kg 静脈内投与により,咳嗽反射は5分後から約80%抑制され,この抑制は15分後まで有意で30分後には回復し,呼吸数はわずかに増大した.これらの作用は,naloxone 前処置により拮抗された.dextromethorphan 3mg/kg 静脈内投与により咳嗽反射は5分後から約70%抑制され,この抑制は15分後まで有意で45分後には完全に回復した.呼吸数は5~15分後にかけて増大傾向がみられた.これらの作用は,naloxone 前処置により拮抗された.これらの結果より,fominoben および dextromethorphan は,opiatereceptor を介して鎮咳効果を示す可能性が考えられる.
  • 土屋 正彦, 井上 修二, 薩田 正之, 吉村 英樹, 有田 匡孝, 高邑 裕太郎
    1986 年 87 巻 6 号 p. 649-654
    発行日: 1986年
    公開日: 2007/03/02
    ジャーナル フリー
    食欲抑制剤,mazindol の小腸ブドウ糖吸収におよぼす影響について検討した.10週齢の Sprague-Dawley 雌ラットを mazindol 投与群(100mg/kgの mazindol 含有粉末食)と対照群に分け4週間後に反転小腸を用い,1)ブドウ糖吸収の経時的観察および2)ブドウ糖移動実験を施行した.180分間の経時的観察実験で漿膜側ブドウ糖濃度は mazindol 投与群が上部小腸口側,同尾側,中部小腸尾側および下部小腸尾側において対照群に比べ有意の低値を示したが,粘膜側ブドウ糖濃度は小腸全部位において両群間に有意差を認めなかった.60分インキュベイト後の移動実験における漿膜側ブドウ糖増加量は mazindol 投与群が上部小腸口側,同尾側,中部小腸尾側において有意の低値を示したが,粘膜側ブドウ糖消失量は小腸全部位において両群間に有意差を認めなかった. mazindol は小腸のブドウ糖吸収への影響は少なく,小腸壁におけるブドウ糖代謝を亢進させるか,あるいは側底膜ブドウ糖輸送担体を阻害し,腸管組織内残留ブドウ糖を増加させることが示唆された.
  • 田中 覚, 田中 真, 明石 章
    1986 年 87 巻 6 号 p. 655-663
    発行日: 1986年
    公開日: 2007/03/02
    ジャーナル フリー
    高血圧自然発症ラット(SHR)を用いて,budralazine の大脳皮質頭頂部および尾状核の局所脳血流量(rCBF)に対する作用を水素クリアランス法によって検討し,以下の成績を得た.1)SHR に各種抗高血圧薬を経口投与し,平均血圧が 110~120mmHgのレベルに下降した時点で rCBF を測定した.対照は,脱血によって同じレベルまで血圧を下降させた群を用いた.2) budralazine (40mg/kg)投与によって,大脳皮質頭頂部および尾状核のいずれの部位の rCBF も脱血対照群に比べ有意に増加し,それぞれの部位の脳血管抵抗(CVR)は有意に低下した.3) hydralazine (9mg/kg)は,budralazine と類似した有意な rCBF の増加および CVR の低下を示した.4) nifedipine (7mg/kg)は,rCBF をそれぞれの部位で有意に増加したが,その程度は budralazine に比べて軽度であり,CVR は低下傾向を示すにとどまった.5) prazosin (6mg/kg)および α-methyldopa (1,000mg/kg)は rCBF および CVR に対してほとんど影響を及ぼさなかった.6) budralazine (3~10mg/kg)を静脈内投与した時,血圧を下降することなく大脳皮質頭頂部および尾状核のいずれの部位でも用量依存的かつ持続的な rCBF の増加を示した.7) reserpine (2mg/kg,i.P.)前処置によって,budralazine の rCBF 増加作用は尾状核で有意に抑制され,大脳皮質頭頂部では抑制傾向を示した.8) 6-hydroxydopamine(250μg/head,i.c.v.)前処置によって,budralazine の rCBF 増加作用は大脳皮質頭頂部で有意に抑制され,尾状核では抑制傾向にあった.以上の成績は,脳血流に対する作用に関して budralazine は prazosin および α-methyldopaと明らかに相違しており,budralazine による降圧効果発現時に脳血流が増加する可能性を示している.また,budralazine の rCBF 増加作用の一部にカテコールアミン神経系の関与が示唆された.
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