日本薬理学雑誌
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2-Methy1-3-aminopropiophenone関連化合物の中枢性筋弛緩作用
紺谷 仁真野 章弘越浦 良三山崎 光雄嶋田 康治大下 政文森川 宏二加藤 日出男伊藤 安夫
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1987 年 89 巻 2 号 p. 91-101

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抄録

中枢性筋弛緩作用をもつ2-methyl-3-aminopropiophenone(MP)誘導体およびMPに環形成させた構造のquinolizidineおよびindan・tetralin誘導体を新たに合成し,その中枢性筋弛緩作用を調べた.合成したquinolizidine誘導体の中に強い中枢抑制作用を有する化合物trans(3H,9aH)-3-(p-chloro)benzoylquinolizidine(HSR-740)とindan・tetralin誘導体の中に中枢興奮作用を有する化合物trans(1H,2H)-5-methoxy-3,3-dimethyl-2-piperidinomethyl indan-1-o1(HSR-719)が見い出され,両誘導体は中枢性筋弛緩薬として不適当なものと考えられた.MP誘導体中,(4'-chloro-2'-methoxy-3-piperidino)propiophenone HCl(HSR-733)および(4'-ethyl-2-methyl-3-pyrrolidino)propiophenone HCl(HSR-770)はマウスを用いた回転円筒法での協調運動,α-chloralose麻酔ラットの交叉性伸展反射をeperisoneとほぼ同程度に抑制した.HSR-733はeperisoneおよびHSR-770に比べ貧血性除脳固縮および上丘・下丘間切断による固縮を抑制する効果が弱かった.脊髄反射においてHSR-733は単シナプス反射電位および後根反射電位を多シナプス反射電位より強く低下させるとともに,3反射電位に対する抑制作用はHSR-770およびeperisoneに比べ強かった.HSR-770はeperisoneの作用部位である脊髄および脊髄上位中枢に作用するが,HSR-733は主に脊髄に作用して筋弛緩作用を発現していると考えられた.以上の結果より,2位にmethyl基をもつMP構造のものが中枢性筋弛緩薬として適していると考えられた.また,検討した化合物中HSR-770はeperisoneと同程度の筋弛緩作用をもったが,eperisoneに比べオキソトレモリンによる振戦抑制作用は強く,自発運動抑制作用は弱いすぐれた筋弛緩薬と考えられた.

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