日本薬理学雑誌
Online ISSN : 1347-8397
Print ISSN : 0015-5691
ISSN-L : 0015-5691
89 巻 , 2 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • 斉藤 忠之, 西村 宣泰, 田島 滋, 福田 俊一, 伊藤 敬三
    1987 年 89 巻 2 号 p. 55-62
    発行日: 1987年
    公開日: 2007/02/23
    ジャーナル フリー
    KB-2413のI型~IV型アレルギー反応に及ぼす影響について検討した.KB-2413はIgE関与のモルモットhomologous PCAおよび受動感作モルモットの気道収縮反応を経口投与で抑制し,ED50値はそれぞれ0.0017mg/kg,p.o.および0.022mg/kg,p.o.であった.また,KB-2413は能動感作モルモットにおけるIgG関与の気道収縮反応に対しても抑制作用を示し,そのED50値は0.024mg/kg,p.o.であった.補体関与の免疫溶血反応に対し,KB-2413は濃度依存的な抑制作用を示した.この作用は補体関与のない低張溶血反応においても同様に観察された.従って,KB-2413の溶血反応抑制作用は抗補体作用に基づくものではないと推察された.Forssman systemic reactionに対しKB-2413 30mg/kg,p.o.は何ら影響を及ぼさなかった.KB-2413 30mg/kg,p.o.はモルモット受動Arthus反応に対し何ら影響を及ぼさなかったが,ウサギ能動Arthus反応の初期反応を有意に抑制した.マウスのpicryl l chloride誘発遅延型皮膚反応の反応惹起段階に対し,KB-2413 30mg/kg,p.o.は有意な抑制作用を示した.以上の成績より,KB-2413はI型アレルギー反応を特に強く抑制し,さらにII型,III型およびIV型アレルギー反応に対し軽度の抑制作用を示すことがわかった.
  • 田ロ 秀明
    1987 年 89 巻 2 号 p. 63-72
    発行日: 1987年
    公開日: 2007/02/23
    ジャーナル フリー
    三環系抗うつ薬のimipramine(IMI),desipramine(DMI)各々5mg/kg,対照としてsalineを,Wistar-今道系乳仔ラット雌雄に7~19日齢の間1日1回皮下投与し,体温調節系の機能発達に及ぼす長期的影響を,基礎体温(直腸温)およびthyrotropin-releasing hormone (TRH) 10mg/kg腹腔内投与後の体温反応を指標に検討した.抗うつ薬持続投与中の17日齢では,IMIまたはDMI各々5mg/kg皮下投与後90分間の体温変動をsaline投与群と比較すると,IMI投与群では有意な体温下降を示したが,DMI投与群では変化が認められなかった.IMI群雌のみが,思春期発来後の7,8,12週齢で基礎体温の高値を示した.TRHによる体温反応は,5週齢(前思春期)では,15,30分後に,IMI群雌およびsaline群雌では上昇を示したが,DMI群雌は30分で一時的な下降を示した.9週齢(成熟期)では,IMI群雄の体温上昇が,15,30分にて対照群と比べ有意に大であった.IMI群雌およびDMI群雌雄では,有意差は認められなかった.IMI群雄とsaline群雄を9週齢にて去勢群,シャム手術群,非手術群に分け,11週齢にてTRH体温反応を検索した.両去勢群は,シャム手術群および非手術群と比べ体温上昇度が減少し,IMI去勢群では有意であった.11週齢にて去勢群に対してtestosterone enanthate 20mg/kgを1回皮下投与し,13週齢にて再度TRH体温反応を検索した結果,testosteroneを補充された両去勢群は,シャム手術群および非手術群と同程度の体温上昇度に回復した.本結果より,乳仔ラットにimipramineを反復投与すると,思春期以降において体温調節系の機能変化が顕性化するが,その変化には性差が認められ,性ホルモンの関与の可能性が示唆された.
  • 田村 豊幸, 藤井 彰, 久保山 昇
    1987 年 89 巻 2 号 p. 73-80
    発行日: 1987年
    公開日: 2007/02/23
    ジャーナル フリー
    ローヤルゼリー(RJ)の抗腫瘍効果を,L1210,P388,およびEhrlich,sarcoma-180腹水または固型腫瘍を用いたマウスの腫瘍移植系を用いて検討した.RJの投与は,予防・治療的(腫瘍移植30日前より移植30日後までの60日間,毎日1回)または治療的(移植後30日間,毎日1回)経口投与とし,腫瘍細胞は腹腔内(腹水腫瘍)または皮下投与(固型腫瘍)とした.RJの投与量は,0(対照),10,100,1000mg/kgとし,以下の結果を得た.1)生存期間の短い(8~9日)L1210,P388を用いた実験では,RJによる抗腫瘍効果は認められなかった.2)生存期間が16日のSarcoma-180腹水腫瘍を用いた治療実験では,9.3~19.3%の生存期間の延長を認めた.生存期間が22.1日のEhrlich腹水腫瘍を用いた治療実験では,RJ10mg/kgで20.4%,1000mg/kgで17.6%の生存期間の延長を認めたが,100mg/kgでは抗腫瘍効果は認められなかった.3)Ehrlich腹水腫瘍を用いた固型腫瘍の治療実験では,RJにより25.3~54.8%の腫瘍抑制率が認められ,また,予防・治療効果の実験では38.3~47.5%の抑制効果が認められた.sarcoma-180腫瘍細胞を用いた固型腫瘍の治療実験では,RJにより45・1~59・7%の腫瘍抑制効果が認められ,また,予防・治療実験では49.1~56.1%の抑制効果が認められた.これらの結果により,RJは急性の腫瘍に対しては効果が発現しにくいが,増殖速度の遅い腫瘍には抗腫瘍効果を発現することが推測された.
  • 若山 和宏
    1987 年 89 巻 2 号 p. 81-90
    発行日: 1987年
    公開日: 2007/02/23
    ジャーナル フリー
    baclofenの薬理作用,特に筋弛緩作用に及ぼすhydrocortisone及びprednisolone前処置の影響を主に8週齢ラットを用いて検討した.1)hydrocortisone(10mg/kg,s.c.)15分前処置はbaclofen(5mg/kg,i.p.)の筋弛緩作用時間を溶媒前投与群に比し有意に延長させた.prednisolone(2mg/kg,s.c.)前投与もbaclofenの筋弛緩時間を有意に延長させた.tolperisone(50mg/kg,i.p.)及びmephenesin(80mg/kg,i.p.)の筋弛緩作用もhydrocortisone前処置により延長した.hydrocortisone前投与がdiazepam(2mg/kg,i.p.)の筋弛緩作用に及ぼす影響は小であった.また,塩化suxamethonium(0.01mg/kg,i.p.)による筋弛緩時間もhydrocortisone前処置の影響をうけなかった.2)hydrocortisone2mg/kgあるいはprednisolone 0.4mg/kgの一週間連続皮下投与24時間後,baclofen 5mg/kgによる筋弛緩時間は雌においては溶媒群に比してむしろ有意な減少を示した.prednisolone雄群においては延長を認めたが,急性前投与に比しその程度は小であった,3)baclofenの鎮痛効果および体温下降作用に対してhydrocortisoneの影響は認められなかった.4)3H-baclofenをトレーサーとしてbaclofenの組織内取り込みを調ぺた.5分後の3H-baclofenの取り込みが小脳,延髄,海馬において,hydrocortisone前処置群で有意に高値を示した.脊髄への3H-baclofen取り込みはhydrocortisone前処置群ではむしろ減少を示した.以上,ラットにおいてhydrocortisone及びprednisoloneの急性前投与は中枢性筋弛緩薬の筋弛緩作用のみを増強させることが明らかとなった.また,hydrocortisoneによるbaclofenの筋弛緩時間の延長は,脊髄よりも主に脳内のbaclofen作用部位を介して発現する可能性が示唆された.
  • 紺谷 仁, 真野 章弘, 越浦 良三, 山崎 光雄, 嶋田 康治, 大下 政文, 森川 宏二, 加藤 日出男, 伊藤 安夫
    1987 年 89 巻 2 号 p. 91-101
    発行日: 1987年
    公開日: 2007/02/23
    ジャーナル フリー
    中枢性筋弛緩作用をもつ2-methyl-3-aminopropiophenone(MP)誘導体およびMPに環形成させた構造のquinolizidineおよびindan・tetralin誘導体を新たに合成し,その中枢性筋弛緩作用を調べた.合成したquinolizidine誘導体の中に強い中枢抑制作用を有する化合物trans(3H,9aH)-3-(p-chloro)benzoylquinolizidine(HSR-740)とindan・tetralin誘導体の中に中枢興奮作用を有する化合物trans(1H,2H)-5-methoxy-3,3-dimethyl-2-piperidinomethyl indan-1-o1(HSR-719)が見い出され,両誘導体は中枢性筋弛緩薬として不適当なものと考えられた.MP誘導体中,(4'-chloro-2'-methoxy-3-piperidino)propiophenone HCl(HSR-733)および(4'-ethyl-2-methyl-3-pyrrolidino)propiophenone HCl(HSR-770)はマウスを用いた回転円筒法での協調運動,α-chloralose麻酔ラットの交叉性伸展反射をeperisoneとほぼ同程度に抑制した.HSR-733はeperisoneおよびHSR-770に比べ貧血性除脳固縮および上丘・下丘間切断による固縮を抑制する効果が弱かった.脊髄反射においてHSR-733は単シナプス反射電位および後根反射電位を多シナプス反射電位より強く低下させるとともに,3反射電位に対する抑制作用はHSR-770およびeperisoneに比べ強かった.HSR-770はeperisoneの作用部位である脊髄および脊髄上位中枢に作用するが,HSR-733は主に脊髄に作用して筋弛緩作用を発現していると考えられた.以上の結果より,2位にmethyl基をもつMP構造のものが中枢性筋弛緩薬として適していると考えられた.また,検討した化合物中HSR-770はeperisoneと同程度の筋弛緩作用をもったが,eperisoneに比べオキソトレモリンによる振戦抑制作用は強く,自発運動抑制作用は弱いすぐれた筋弛緩薬と考えられた.
feedback
Top