日本薬理学雑誌
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オキサゼパムの作用におよぼす塩酸イミプラミンの併用効果
沖山 雅彦上野 光一大森 栄五十嵐 隆北川 晴雄
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1987 年 90 巻 3 号 p. 177-186

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抄録

oxazepam(OZ)の薬物動態ならびに薬効に対するimipramine(IM)併用による薬物相互作用を検討する目的で,oz20mg/kgを単独あるいは塩酸IM20あるいは50mg/kgとの併用により単回経口投与したラットにおいて研究した.経口投与後における血漿,脳および肝臓中のOZ濃度は高速液体クロマトグラフィー(HPLC)法により測定を行った.血漿中OZ濃度は塩酸IM50mg/kgの併用により消失半減期(T1/2β)の延長と血漿中濃度下面積(AUC)の増加が認められた.また脳内OZ濃度も塩酸IMの併用により,1.5倍前後の上昇を示したが,肝臓中濃度においては併用による影響は認められなかった.一方,OZの薬効に対する塩酸IMの影響は,抗pentylenetetrazol(PTZ)痙攣作用ならびに運動協調性に対する作用について検討を行った.経口投与後1時間の抗PTZ痙攣作用において塩酸IMの併用は,OZによる強直性痙攣および間代性痙攣の発生例数の減少ならびに間代性痙攣発生時間の遅延効果を若干増強させたが,経口投与後4時間において影響は認められなかった.OZの運動協調性に対する抑制効果はdiazepam(DZ)に比較して極めて弱く,また持続時間も短かった.このOZによる運動協調性の抑制は塩酸IMの併用においても変化は認められなかったが,DZによる抑制作用に対して塩酸IMの併用は有意な増強を示した.またOZ,DZおよびIMの各々の血漿蛋白結合率は,併用によっても変化は認められなかった.以上の結果よりOZの薬効は,塩酸IMの併用により若干の影響を受けたが,この薬効の変化は血漿中蛋白結合率の変化に起因するものではなく,血漿中濃度さらには脳内OZ濃度の変化と比較的良く一致することが示唆された.

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