日本薬理学雑誌
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Ginsenoside-Rb1の中枢性摂食抑制作用
衛藤 宏坂田 利家藤本 一真寺田 憲司吉松 博信大隈 和喜林 輝明有地 滋
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1988 年 91 巻 1 号 p. 9-15

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抄録

ginsenoside-Rb1の中枢性摂食調節に対する作用を調べるため,摂食量,飲水量及び探索行動量,それに食事(meal)パターン等に及ぼす影響,更に摂食に連動する体内化学物質の変動等を検討した.実験は明暗12時間周期(明期0800~2000時)の条件下で行った.Rb1の0.05,0.10,0.20μmolをそれぞれラット第III脳室内へ暗期直前に注入した.投与後1日目の暗期に用量反応性の摂食抑制作用が発現した.Rb1 0.10μmol投与による摂食抑制効果は1回食事量(meal size)の減少に起因しており,食事後食事間間隔(postprandial intermeal interval)や食事摂取速度(eating speed)の変動によってはいなかった.さらにRb1を視床下部腹内側核へ局所注入すると摂食が特異的に抑制された.しかし,外側視床下野への投与ではいずれの変化も認められなかった.また,Rb1 0.10μmol投与ではインスリンの上昇を伴わない高血糖を誘発した.以上,Rb1は中枢神経系を介して体液性変動を伴う特異的摂食抑制作用を有すること,その作用部位には少なくとも視床下部腹内側核が含まれることなどが判明した.

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