抄録
cefaclor〔3-chloro-7-D-(2-phenyl-glycinamido)3-cephem-4-carboxylic acid;CCL〕のモルモット多血小板血漿および洗浄血小板のPAF,ADP,collagen,エンドトキシンおよびトロンピン凝集に対する作用をin vitroで検討した.PAFは凝集惹起最少有効濃度以下でADPおよびエンドトキシン凝集の増強および最大凝集時間に達するまでの時間の延長を示し,collagen凝集に対してはcollagen添加から凝集開始までの時間(lagtime)を短縮させ凝集速度を促進させた.CCLは血小板のPAF,ADP,トロンピン凝集およびPAFのADP凝集の増強作用を抑制し,collagen凝集に対してはlagtimeの延長および凝集速度を低下させたが,エソドトキシン凝集に対しては影響を与えなかった.CCLの作用はlatamoxef(LMOX)とほぼ同程度であった.CCLやLMOXはPAF,ADPおよびトロソビン刺激による細胞内Ca2+の増加に対しては影響を与えなかった.従って,CCLの血小板凝集阻害作用は,細胞内Ca2+の増加を抑制せずに血小板凝集を阻害するので,フィプリノーゲンと膜糖蛋白質IIb/IIIa複合体の結合の阻害によるものではないかと推測される.