日本薬理学雑誌
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PCPGABA,TRHなど4種の中枢性胃酸分泌刺激薬のラット胃灌流標本における効力比較
山崎 勝也後藤 義明
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1990 年 96 巻 1 号 p. 11-21

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抄録

PCPGABA,thyrotropin releasing hormone(TRH),insulin及び2-deoxy-D-glucose(2DG)の胃酸分泌に対する作用をurethane麻酔下のラットを用いて胃腔内灌流法で比較検討した.PCPGABAは4mg/kgの皮下投与20分後に,TRHは1μgの大漕内投与10分後に,insulinは2U/kgの静脈内投与90分後に,2DGは200mg/kgを静脈内投与60分後にそれぞれ胃酸分泌を刺激した.胃酸分泌最大刺激効果を10分間当りの最大分泌量で比較すると,その活性は,PCPGABA=TRH>2DG=insulinの順であった.また,迷走神経の遠心性発射に対していずれの化合物も発射頻度を増加させ,しかもその活性化は胃酸分泌反応に先行して発現した.atropineの前処理および迷走神経切断は,これらの化合物による胃酸分泌刺激作用をほぼ完全に抑制した.PCPGABA及びTRHは,血糖値にほとんど影響を与xなかったが,insulinは血糖値を低下し,2DGは血糖値を上昇させた.以上の結果から,いずれの化合物も迷走神経性のコリン作働性経路を介して胃酸分泌を刺激するが,その作用機序には若干の差異が認められた.

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