日本薬理学雑誌
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マウス運動量の測定及び解析のための新しいシステム 5種の中枢興奮薬の作用
松本 欣三蔡 兵中村 晋也渡辺 裕司
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1990 年 96 巻 1 号 p. 31-39

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抄録
マウスの自発運動量を測定するために,安定して高い測定感度が得られ,機器間にバラつきが少ない新しい自発運動量測定装置を試作し,5種類の中枢興奮薬の影響を検討した.ドーナツ型の測定用ケージの周囲に立ち上がり検出用及び位置検出用ピームを配置し,マウスの動作回数,移動距離,立ち上がり回数,立ち上がり時間を5分毎に測定した.methamphetamine(0.5,1及び2mg/kg,s.c.)は用量依存的に動作回数を増加させ,移動距離を著明に増加させた.cocaine(20,50及び75mg/kg,s.c.)は動作回数と移動距離を著しく増加させたが,特に50mg/kgを投与されたマウスは立ち止まることなく移動を続けるのが特徴であった.caffeine(10,30及び100mg/kg,s.c.)投与群では中等度の興奮が持続性に発現した.morphine(5,10及び20mg/kg,s.c.)投与群でも用量が高い程,横への連続的な動きが顕著であった.apomorphine(1及び3mg/kg,s.c.)の低用量では一過性の立ち上がり回数と横の動き,高用量では持続的な立ち上がりと中等度の横の動きが観察された.これらの実験の結果は今回の試作器が各興奮薬に特徴的な幾つかの動きを検出したことを示しており,マウスの自発運動量測定装置としては有用と思われる.
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