日本薬理学雑誌
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モルモット肺傷害に及ぼすLiposome化Recombinant human superoxide dismutaseの影響
中神 啓仁稲村 恵中野 雄司小林 洋四郎
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1991 年 97 巻 1 号 p. 41-49

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抄録

Forssman抗血清によるモルモットの肺傷害に及ぼすliposome化recombinant human superoxide dismutase(liposome-r-h-SOD)の影響について検討した.モルモットにForssman抗血清を静注すると気道抵抗の2相性の増大が生じる.liposome-r-h-SODはこの2相性の増大を用量依存的に有意に抑制し,形態学的にも細動脈周囲結合組織の出血や肺胞内の浸出液の貯留を抑制した.なお,反応惹起5分前投与よりも30分前投与の方がより有効であった.一方,freer-h-SODおよびfreer-h-SODとempty liposomeの併用は肺傷害を抑制しなかった.ブタ培養血管内皮細胞とともに培養するとfree SODの場合では内皮細胞のSOD活性はほとんど変化しなかったが,liposome-r-h-SODでは用量および培養時間に依存してSOD活性が増加した.さらに,liposome-r-h-SODをモルモットに投与すると肺の細動脈および毛細血管の内皮細胞ならびに肺胞上皮細胞に外因性SODが分布しているのが確認された.以上の成績より,Forssman抗血清によるモルモットの肺傷害には活性酸素が関与していることが示唆された.また,静脈内投与したliposome-r-h-SODは肺の血管内皮細胞に付着あるいは取り込まれ,血管内皮細胞局所でのSOD濃度の増加と持続性が高まり活性酸素による肺傷害を防いでいる可能性が示唆された.

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