新規非ステロイド性抗炎症薬CN-100のin vitroにおけるラット腹腔多形核白血球(PMN)機能に対する作用を検討した.オプソニン化zymosan(OZ)刺激およびN-formyl-methionyl-leucyl-phenylalanine(FMLP)刺激によるPMNからのsuperoxide(O
2-)産生,およびluminol依存性化学発光に対しCN-100は抑制作用を示し,その作用はindomethacinと同等以上であり,pranoprofenよりも強かった.しかし,phorbol 12-myristate 13-acetate刺激によるPMNからのO
2-産生に対し,CN-100はindomethacinおよびpranoprofenと同様に抑制作用を示したもののその作用は弱く,hypoxanthine-xanthine oxidase系における
2-消去作用と明確な差は認められなかった.また,cytochalasin Eで前処理したPMNをFMLPまたはOZで刺激することにより生じるlysosomal enzymeの遊離に対しCN-100およびindomethacinは抑制作用を示し,その作用はpranoprofenよりも強かった.CN-100およびindomethacinは,FuraII-loaded PMNをFMLPで刺激した時に見られる細胞内Ca
2+濃度の上昇を抑制した.CN-100のlysosomal enzyme遊離抑制作用および細胞内Ca
2+濃度上昇抑制作用はPMNを洗浄することにより消失した.これらの結果から,CN-100はindomethacinと同様にPMN細胞膜に対して可逆的に結合し,細胞内Ca
2+濃度の変化により開始する情報伝達を阻害し,PMNの多くの機能を抑制している可能性が示された.また,CN-100のPMN機能抑制作用はindomethacinとほぼ同等であることから,これらの作用はCN-100の抗炎症作用の一機序になっているものと推察された.
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