抄録
moxisylyteの下部尿路系に対する作用を,摘出ウサギ尿道および膀胱を用い,prazosinおよびbunazosinと比較検討した.moxisylyteは,phenylephrineによる尿道収縮を濃度依存的に抑制し,そのIC50値は,1.01×:10-6Mであった.prazosinおよびbunazosinも同様に抑制し,IC50値は各々2.88×:10-7Mおよび1.44×:10-7Mであった.また,moxisylyteおよびbunazosinは,KClによる尿道収縮も抑制し,そのIC50値は各々1.71×:10-5Mおよび1.35×:10-4Mであったが,prazosinは殆んど抑制しなかった.moxisylyte,blmazosinおよびprazosinのIC50値のKCl/phenylephrine比は,各々17,938および9201であり,moxisylyteの比が明らかに小さく,moxisylyteの尿道弛緩作用にはCa++拮抗作用の関与も示唆された.さらに,moxisylyteはKClによる膀胱収縮も濃度依存的に抑制し,そのIC50値は4.46×:10-5Mであった.しかし,moxisylyteは抗choline作用を示さなかった.以上の結果,moxisylyteは交感神経α1-遮断作用に加えCa++拮抗作用をも有し,尿道を弛緩させることが示唆され,排尿困難治療薬として期待できると思われる,