日本薬理学雑誌
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Moxisylyteの下部尿路系に対する作用―2 生体位尿道に対する作用
渡辺 潔林 裕池田 賢朗大西 治夫
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1991 年 97 巻 3 号 p. 153-165

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抄録

moxisylyteの下部尿路系に対する作用を尿道内圧曲線(UPP)およびbanoon法を用いて検討した.UPPにおいて,moxisylyteは近位部および遠位部の両尿道を弛緩させた.しかし,prazosinおよびbunazosinは,近位部尿道に比し遠位部尿道の弛緩作用は弱かった.banoon法を用いて尿道内圧を測定したが,moxisylyte,prazosin,blmazosinおよびphentolamineは用量依存的に尿道内圧を低下させ,ID25値は各々23.4,0.43,0.76および33.1μg/kg,i.v.であった.moxisylyteの尿道内圧低下作用は,prazosinおよびbunazosinの1/30~1/54の効力であった.同時にmoxisylyteは血圧降下作用および心拍数増加作用を示したが,prazosin,bunazosinおよびphentolamineに比し弱いものであった。balloon法を用いα1-遮断作用を検討したが,moxisylyteのみ高用量で非競合的拮抗作用を示し,prazosin,bmazosin,phentolamineおよびyohimbheと作用を異にした.moxisylyte,prazosin,bunazosin,phentolamineおよびyohimbineのDR10値(μg/kg)は各々105.7,4.56,4.13,46.2および348.7であり,moxisylyteの効力は,blmazosinおよびprazosinの約1/23の効力であった.以上の結果,moxisylyteは近位部および遠位部両尿道ともに弛緩させ,その作用には交感神経α1-遮断作用に加え尿道平滑筋直接弛緩作用の関与も示唆された.従って,moxisylyteは,prazosinおよびhmazosinとは性質の異なる排尿困難治療薬として期待できると思われる.

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