新規1,4-dihydropyridine誘導体であるamlodipineの摘出血管に対する作用を検討した,amlodipineは予めKClで収縮(K
+-収縮)させたイヌ冠動脈,並びにラット大動脈のK
+-収縮及び門脈の自発的な収縮に対してnifedipineと同様,濃度依存性の弛緩または抑制作用を示した.しかし,nifedipineの場合に比べ,amlodipineでは最大弛緩反応または抑制作用を得るために長時間(1~2時間)を要し,洗浄後のK
+-収縮の回復は極めて緩徐であった.K
+-収縮に対する弛緩または抑制作用はイヌ大腿動脈,イヌ脳底動脈及びウサギ大動脈でもみられた.K
+-収縮または自発的収縮を50%弛緩または抑制するamlodipineの濃度(IC50)はイヌ冠動脈で6.5×:10-9M,イヌ大腿動脈で6.5×:10
-9M,ラット門脈で1.1×:10
-8M,イヌ脳底動脈で1.7×:10
-8M並びにウサギ大動脈で4.8×:10
-8Mであり,いずれの血管においてもamlodipineの効力はnifedipineに比べやや弱かった.イヌ大腿動脈及びウサギ大動脈におけるnorepinephrine(NE)収縮に対して,amlodipine10
-7,10
-6Mは軽度の抑制を示したにすぎず,イヌ大腿動脈に:おけるKClとNE収縮に対するIC50値の比から,amlodipineはK
+収縮に対し846倍の選択性を示し,この選択性はnifedipineの場合(50倍)に比べ極めて高かった.amlodipineはCa
2+-free下でラット大動脈標本のNE収縮に影響せず,外因性CaCl
2による収縮を著明に抑制した.以上の結果より,amlodipineは今回用いた血管のいずれにおいても低濃度でK
+-収縮(脱分極収縮)を著明に抑制し,その効力はnifedipineよりもやや弱いが,NE収縮と比べた場合K
+-収縮に対する選択性はnifedipineよりも高いことが示唆された,そしてその作用は,nifedipineと異なり,緩徐に発現し,かつ持続的であることが確認された.
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