日本薬理学雑誌
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新規Dihydrobenzoxazine carboxamide誘導体,Y-25130のvon Bezold-Jarisch Effectにおける5-HT3受容体遮断作用
稲葉 賢一森本 保人福田 武美瀬戸口 通英
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1991 年 98 巻 4 号 p. 293-299

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抄録
新規dihydrobenzoxazine carboxamide誘導体,Y-25130(N-(1-azabicyclo〔2,z,2〕oct-3-yl)-6-chloro-4-methyl-3-oxo-3,4-dihydro-2H-1,4-benzoxazine-8-carboxamide hydro-chloride)の5-HT3受容体遮断作用を,urethane麻酔ラットを用いて,serotonin(5-HT)のbolus静脈内投与により惹起される反射性の徐脈(von Bezold-Jarisch effect:BJE)に対する拮抗作用を指標に検討した.BJE反応に対し,spiperone(5-HT1受容体遮断薬),ketanserin(5-HT2受容体遮断薬),phenoxybenzamine(ノルアドレナリンα1受容体遮断薬),yohimbine(ノルアドレナリンα2受容体遮断薬)およびhaloperidol(ドーパミンD2受容体遮断薬)はいずれも影響を及ぼさなかった.一方,Y-25130は静脈内および十二指腸内のいずれの投与経路においても,対照薬のmetoclopramideよりも強力で,持続性のある抗BJE作用を示した.また,Y-25130は選択的な5-HT3受容体アゴニストである2-metllyl-5-HTにより惹起されるBJE反応を抑制したが,BJE反応を抑制する約800倍の用量を用いても,迷走神経の電気刺激による心拍数の減少に対して全く抑制作用を示さなかった.以上の結果より,Y-25130は強力で選択的な5-HT3受容体遮断作用を有することが示された.
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