日本薬理学雑誌
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新規ベンジルピリジン誘導体KW-6055の中枢コリン作動性神経系に及ぼす影響
黒川 昌子森 明久塩崎 静男神田 知之吉崎 里香石井 昭男
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1992 年 99 巻 6 号 p. 435-443

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抄録
抗健忘作用を有するKW-6055〔α-(p-butyrylamino-o-nitrobenzy1)pyridine〕のラット大脳皮質前頭葉コリン作動性神経系に及ぼす影響をin vivo脳内微量透析法を用いて検討し,以下の成績を得た.1)KW-6055(40,160mg/kg経口投与)はラット大脳皮質前頭葉アセチルコリン(ACh)遊離量を増加(257±23%,202±24%)させた.このACh遊離量増加作用はテトロドトキシンにより消失したことから神経発火を介したものと考えられた.また,KIW-6055によるACh遊離量増加作用がレセルピン前処置で減弱したことから一部モノアミン作動性神経系の賦活を介していると考えられた.2)KW・6055(40mg/kg経口投与)は前脳基底核(BF)破壊ラットにおいても,有意に大脳皮質前頭葉ACh遊離量を増加(251±22%)させた.BF破壊ラットにおけるACh遊離作用の持続は正常ラットより長く,投与後2時間においても有意な増加が認められた.以上,KW-6055はラット大脳皮質前頭葉ACh遊離量を増加させ,この作用が本薬物の抗健忘作用等の薬効発現の機序に関与している可能性が示唆された.
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