抄録
本研究では,確率的概念により実数値の和を1とすることを,区間値へと拡張した区間確率を取り扱う.
通常の確率では,事象の不確定性によるあいまいさをエントロピーで測るが,本研究では区間確率に対応させて区間エントロピーを求める.
また,エントロピーとは異なる尺度として,各事象の確からしさの度合から
区間確率の無知量によりあいまいさを測る.
証拠理論では,焦点要素として,各対象だけでなく,全対象からなる集合の部分集合も用いることで,無知量を考慮している.
焦点要素に割り当てられた基本確率の対象ごとの合計を必然性からBel関数(下界確率)で,可能性からPl関数(上界確率)で定義して,不完全な証拠の構造を表している.
このようにして得られる上下界確率を端点とする区間値は,区間確率の条件を満たす.
したがって,全焦点要素に基本確率が与えられると,各対象の区間確率を同定することができる.
しかしながら,全焦点要素に,その合計が1となるよう基本確率を割り当てることは,要素数の増加にともない困難となる.
そこで,区間確率の無知量に着目し,一対比較を用いて区間確率を同定する方法を示す.