抄録
現前する対象となるもの(物・人・出来事)に対して、それが自分自身にとって有益か有害かを直感的に判断することで感情が生ずるとするのが認知的評価理論(appraisal theory)である。しかしながら、上杉喬(1981,2000)は、その対象を思い浮かべるだけで感情を体験すること、そして、同じ対象を現前にした場合の感情状態とを、心的に比較・照合しうるものであることを、通常の感情状態とは区別して、これを感情イメージと名付けた。自分を取り巻く身近な対象(例; 父,学校)に対しては、時にはポジティブ、時にはネガティブな感情を経ることで,様々な感情を複合した感情イメージを形成することが予想される。本研究では、諸感情(例;喜,悲)を複合した感情状態が、日常生活での比較的恒常的な感情状態を示すものと考え、これによる身近な対象への感情価をもとめ、対象間の心的構造を検討することを目的とする。