日本顎関節学会雑誌
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原著
アンケート調査による顎関節症の病態分類(2013年)の利用状況
檀上 敦覚道 健治久保田 英朗矢谷 博文築山 能大有馬 太郎松香 芳三山下 佳雄
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2019 年 31 巻 1 号 p. 16-23

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抄録

日本顎関節学会は,2013年に顎関節症の病態分類をDiagnostic Criteria for Temporomandibular Disorders(DC/TMD)に則して改訂した。改訂後約3年が経過したところで,全国の153の研修施設に対して本病態分類の導入状況と施行に関する調査を行った。調査内容は顎関節症の病態分類(2013年)の導入状況,診断方法,重複診断の採用,重複診断の際の治療優先度,臨床統計実施の有無,顎関節症の病態分類(2013年)の有用性,学生および研修医教育への有用性の8項目である。その結果,87%の施設で本病態分類を使用していた。診断方法は73%の施設で本病態分類を,DC/TMDに準拠している施設は13%であった。88%の施設で重複診断が採用され,その際の治療優先度は関節痛や筋肉痛に優先度をおいている施設が多かった。顎関節症の病態分類(2013年)に関して23%の施設が診断に「とても有用」,67%が「やや有用」と回答した。また,76%の施設で学生および研修医の教育に利用しているとの回答を得た。以上の結果から,顎関節症の病態分類(2013年)と重複診断は,その有用性から広く普及しつつあるが,今後治療優先度の指針の提示,画像診断などを盛り込んだ日本版DC/TMDの作成などが課題だと考える。

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© 2019 一般社団法人 日本顎関節学会
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