日本顎関節学会雑誌
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症例報告
小児に発症した両側筋突起過形成症の1例
和気 創儀武 啓幸田口 望山口 賀大高原 楠旻佐藤 文明依田 哲也
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2020 年 32 巻 2 号 p. 65-71

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抄録

目的:筋突起過形成症は,過形成した筋突起が頰骨後面および頰骨弓内面に干渉することで開口障害を引き起こす疾患である。その詳細な成因は不明だが,小児での発症はまれである。今回われわれは,小児に発症した両側筋突起過形成症に対し,手術療法を施行し,術後の開口訓練に難渋した症例を経験したのでその概要を報告する。

症例:8歳の女児で,開口障害を主訴に来院した。初診時の自力および強制最大開口時の上下中切歯間距離は15 mmであった。パノラマエックス線,単純CTにて両側筋突起の頰骨弓上縁を越える過形成を認め,両側筋突起過形成症の診断にて全身麻酔下に両側筋突起切除術を施行した。口内法にて下顎第一大臼歯頰側歯肉部から下顎枝前縁部分に切開を加え,側頭筋を筋突起から可及的に剝離した後,超音波切削器具にて筋突起を切除した。術後翌日から徒手による閉口訓練を開始し,術後6日目からは徒手による開口訓練を開始,術後8日目からはヤセック開口訓練器による開口訓練を開始した。術後1年5か月を経過し,自力最大開口は38 mmである。病理組織学所見では,腫瘍性病変や異常所見は認めず,正常な骨組織であると考えられたため,先天性もしくは幼少期に発症した筋突起の過形成が開口障害の原因であると考えられた。

結論:今回われわれは,小児に発症した両側筋突起過形成症を経験した。小児の筋突起過形成による開口障害はまれな病態であり,開口域の後戻りを生じる可能性も否定できないため今後も厳重な経過観察が必要と思われる。

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© 2020 一般社団法人 日本顎関節学会
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